2019 Fiscal Year Research-status Report
Study of a homogeneous spinor BEC
Project/Area Number |
19K14635
|
Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
柴田 康介 学習院大学, 理学部, 助教 (90735440)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | BEC / 一様系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、スピン自由度を持つボース・アインシュタイン凝縮体(スピノールBEC)の一 様系における振る舞いを実験的に明らかにすることを目的とする。スピノールBECは、超流 動性と磁性を併せ持つ量子流体であり、実験・理論の両面からその特性が調べられてきた。 従来の実験研究では主として調和型の引力ポテンシャルで閉じ込めたBECが用いられている。それに対し、本研究では、箱型の斥力ポテンシャル中の一様なスピノールBECを対象とする。外部閉じ込めの影響を排した一様系を用いた実験により得られる知見は、スピノールBECのより深い理解につながる。 一様なBECに関する先行研究では、空間変調器によって形成された中空ビームと、中空ビームに蓋をする2つのシート状ビームとで形成される箱型の斥力ポテンシャル内にBECが準備された。さらに、重力を補正する磁場勾配を印加している。しかし、この重力補正法は、異なる磁場依存性をもつ複数のスピン成分に対しては適用できず、スピノールBEC研究にそぐわない。そこで、本研究では、重力補正“光”ポテンシャルを利用し、一様スピノールBECを実現することとした。光ペインティングの手法によって線型な強度分布をもつ光を作って、ルビジウム原子集団に照射し、重力による原子集団の重心の鉛直下方へのシフト(重力サグ)の補正を実現した。また、斥力ポテンシャルを形成するための新たな光源を準備し、光空間変調器を用いて、原子位置に10 μm程度の空間サイズの光パターンを形成した。同光パターンを用いて、BECを分割した。したがって、実験に十分な大きさの斥力ポテンシャルを準備できたといえる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の最初の重要なステップは、まだ実現が報告されていない一様なスピノールBECを生成することである。本年度までに開発した技術を組み合わせることで、一様なスピノールBECを生成可能と見込まれる。
|
Strategy for Future Research Activity |
斥力光と重力補正光とを組み合わせて作ったボックス型のポテンシャル中にBECを効率的に移行する。その場位相コントラストイメージングおよびtime-of-flight後の吸収イメージングによって、一様BECの生成を確認する。ラジオ波によるスピン制御によって、一様スピノールBECを実現する。
|
Causes of Carryover |
研究を遂行したところ、調整が難しい残額が発生した。今後、研究を進めていく中で、各時点で必要性が高い備品(光学素子など)の購入に充てる。
|
Research Products
(1 results)