2021 Fiscal Year Annual Research Report
Edge states using ultracold atoms
Project/Area Number |
19K14639
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
素川 靖司 分子科学研究所, 光分子科学研究領域, 助教 (70768556)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 人工ゲージ場 / ボース・アインシュタイン凝縮体 / 量子制御 / 幾何学的位相 / 非可換ベリー位相 / リュードベリ状態 |
Outline of Annual Research Achievements |
量子系の幾何学的・トポロジカルな性質は、物理系・化学系において普遍的に現れることが知られており、その系の振る舞いに影響を与えたり、物性を特徴づけたりする。本年度は、エッジ状態を観測する新たなプラットフォームとしてリュードベリ励起した極低温原子配列に着目し、リュードベリ原子系に関する研究を進めた。リュードベリ原子間に働く双極子相互作用を介して励起状態が原子配列間を伝播することがエッジ状態に対応する。その第一歩として光格子中に生成した極低温Rb原子のモット絶縁体を、広帯域レーザーによってリュードベリ励起し、多体スピンダイナミクスを観測した。また、イジング模型を用いた理論解析によって多体相関の形成について知見を得た(arXiv:2201.09590)。さらに、リュードベリ状態へのレーザー励起確率の増大と安定化を目的としたパルスレーザー系の技術開発の検討を進め、周波数領域の光学干渉を用いたチャープ・パルスの評価手法等の研究を進めた。また、冷却原子集団を撮像方法として用いる吸収イメージング法を応用した多カメラ非焦点イメージング法に関する研究がOptics Express誌(Editor's Choice)に掲載された。多カメラ非焦点イメージング法をルビジウム(Rb)原子ボース・アインシュタイン凝縮体を用いて実証するとともに、理論的に吸収イメージング法や位相コントラスト法と同程度の性能があることを示した。さらに、Berry位相を一般化した幾何学的Wilczek-Zee位相の観測した研究がnpj Quantum Information誌に掲載された。本成果は非可換・幾何学的位相を用いたスピン・デバイスや高エネルギー現象等の量子シミュレーションや量子センサー、ホロノミック量子コンピューティングへの応用展開が期待される。
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