2020 Fiscal Year Research-status Report
Theoretical studies on couplings between surface Majorana fermions and boson excitations in topological superconductors and superfluids
| Project/Area Number |
19K14662
|
|---|
| Research Institution | Tohoku University |
|---|
Principal Investigator |
正木 祐輔 東北大学, 理学研究科, 学術研究員 (90837840)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
| Keywords | 多成分超流動 / 半整数渦 / 集団励起 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
1. 多成分超流動の一つである3P2超流動の非軸対称渦とフェルミオン束縛状態の研究を行った．本課題で対象にあげている3He B相と多くの類似性を示す一方で，対称性による制約から生じる相違点もある．磁場中ネマティック相におけるdouble core vortexおよび半整数渦を微視的な方法に基づいて調べた．軸対称性のある場合のv vortexと同様にdouble core vortexを作る誘起成分が，秩序変数の対称性から磁場によって抑制され，Majoranaフェルミオンが現れうることを明らかにした．またトポロジカルに許容される半整数渦の存在可能性について，半整数渦間の相互作用エネルギーを計算することで，整数渦が二つの半整数渦対に分裂しうることを見出した．二つの半整数渦のそれぞれのコアにはMajoranaフェルミオンが束縛されていることも明らかにした．double core vortexの磁場による不安定化と弱結合極限における半整数渦間の相互作用は超流動He3のB相，A相にそれぞれ関係するが，それらには見られない３P2超流動に特有の現象であると考えている．
2. カイラル磁性体のソリトンに局在したスピン波の高磁場側での不安定化について，ヘッセ行列から得られるスペクトルと運動方程式によるソリトンのスライディングダイナミクスの観点から明らかにした．この不安定化は線形化した励起スペクトルでは見出せない非自明な不安定化であることを示唆する結果である．
3.磁性を伴った中性イオン性転移を示す有機物の光励起ダイナミクスの解析を行い，光励起スペクトルにスピン励起の情報が現れる，"スピンポーラロン”のような構造を発見し，スピン制御の可能性を見出した．
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
２年目におけるエフォートも大幅に制限されていたため，予定通りに研究計画を進めることが困難となった．
一方で，本課題とトポロジカルな観点から類似性の多い多成分超流動の渦について，継続的に行っていた計算の中で大きな進展があった．この研究の手法は本課題とも密接に関係しているため専念することとなった．
|
| Strategy for Future Research Activity |
１. Keldysh 形式の非平衡準古典理論により，表面存在下での線形応答を構成し，ボソン励起の動的応答 (有限振動数の励起) の定式化を行う．具体的な問題設定としてスラブ形状を用いてボソンの表面束縛状態を考える．
２. 本年度別の問題で実装した非線型一般化固有値問題の解法の，１で定式化した枠組みへの適用を行う．ボソン励起の極を探す問題で応用できると考えている．
|
| Causes of Carryover |
当初予定していた計算機の購入が，本年度までの所属で電源や配置場所に制約が生じてしまったために困難となってしまい，導入が遅れている．また，世界的なコロナ感染拡大により，予定していた国際会議出席や，長期滞在が全て白紙となってしまったことによる．予定では次年度が最終年度であるが，エフォートの制限や予算の使用状況を考慮して，計画の一年延長も視野に入れ，未使用額も考慮した最新の計算機の導入を計画する．
|
