2021 Fiscal Year Research-status Report
Experimental study on the anomalous metallic state in quasiperiodic systems
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19K14663
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
鈴木 慎太郎 東京理科大学, 先進工学部マテリアル創成工学科, 助教 (60837508)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 近似結晶 / 準結晶 / 新物質探索 |
Outline of Annual Research Achievements |
新規Ce系準結晶関連物質の探索については、まずAu-Ga-Ce系Tsai型1/1近似結晶の研究を引き続き行った。これに対する再現実験や再測定を行い、論文の執筆を行った。(これはまもなく投稿予定である。) 特に電気抵抗の測定より近藤格子の形成と見られる振る舞いが観測され、さらにこれが組成依存性を示すことが確認された。これは化学圧力もしくは単原子当たりの価電子濃度といった元素置換により変化しうるパラメータが混成強度に介在していることを示唆しており、Tsai型準結晶関連物質においても局在電子が遍歴性を獲得しうることが期待される。また中心サイトのCe濃度の増加に伴い、極低温下での電気抵抗が温度の対数に比例し上昇する振る舞いが確認された。高温での磁化測定より、中心サイトに位置するCeもまた磁性を示すことから、これは中心サイトに位置するCeが磁性不純物として働いていることを示唆するものである。 また、新規Ce系準結晶については、これまで不純物相の混ざっていた系の組成を調整することにより、この系の単相化に成功した。Ce系準結晶の報告例がないことから、初の単相Ce系準結晶となる。これに対し透過電子顕微鏡を用いた測定を行ったところ、その回折像に明瞭な5回対称性が観察され、系が準周期性を持つことが示された。更に低温物性測定を試みたが、系の基底状態はスピングラスとなることが明らかとなった。近似結晶における研究と同様、系の非磁性元素が混合サイトを形成することにより、Ce元素間の相互作用に分布が生じていることによるものであると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規Ce系準結晶関連物質の探索については準結晶の単相化に成功し物性測定まで完了した状況である。これまで報告が全くなかったCe系準結晶について新規に合成したのみならず、物性まで測定を行った意義は非常に大きい。 一方、もう一方の探索対象であるホウ素七員環を基盤とした系についてはアーク溶解・高周波溶解・ブリッジマン法いずれも現在上手く行かず、合成に関し困難が生じている状況である。フラックス法を用い結晶を得ることは成功したため、今後はこれを発展させ収率の向上を目指す方針である。
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Strategy for Future Research Activity |
まもなくのCe系近似結晶に関する論文投稿の後、準結晶Ceに関する論文を引き続き執筆予定である。一方現状発見した系では非磁性元素の乱れについて解決することが困難であることから、引き続き新物質探索を行う。 ホウ素七員環系についてはフラックス法を用い系の準備を積極的に行いつつ、収率向上に向けて更なる実験を行う予定である。とりわけ、これまで行えていなかった熱分析を行い、合成の条件を絞り込みたく考えている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍にて研究者の往来や自由な実験が制限される中、消耗品の使用予定が当初より大幅に目減りしたことにより次年度使用額が生じた。今年度はこうした遅れを取り戻すべく、合成・測定の両面に予算を使用したく考えている。またホウ素七員環系の合成に関し、必要であれば装置などの購入を行い研究を加速させることを考えている。
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Research Products
(1 results)