2022 Fiscal Year Annual Research Report
Experimental study on the anomalous metallic state in quasiperiodic systems
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19K14663
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
鈴木 慎太郎 東京理科大学, 先進工学部マテリアル創成工学科, 助教 (60837508)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ハイパーマテリアル / 準結晶 / 近似結晶 / スピングラス / Ce系化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
2012年に報告されたAu-Al-Yb準結晶における価数揺動を伴う量子臨界現象は大きな注目を集めている一方、準周期系では従来の重い電子系、とりわけCe系化合物で見られるスピン揺らぎを伴う異常金属状態が未だ観測されていない。本研究はこれに着目し、未だ発見されていなかったCe系準結晶を含め、Tsai型Ce系準結晶関連物質(ハイパーマテリアル)の探索を行った。 その結果Au-Ga-Ce系1/1近似結晶を発見した。この系は非常に広い単相領域を有することから、磁性と同様、単原子当たりの価電子濃度に着目することにより、基底状態のチューニングが可能であることが期待された。しかし、それにもかかわらず、系の基底状態はすべてスピングラスとなることが0.3 Kまでの測定より明らかとなった。Tsai型では、Cd-RE(RE:希土類)のCdサイトを2つ以上の元素により置換することでこれまで多くの系が安定化し発見されてきたが、金属間化合物形成の際に一部サイトが合金的に2種以上の元素を含んでしまうことから、希土類間の相互作用に乱れが生じ、結果スピングラス基底状態がこれら系で実現しているものと考えられる。これを回避するためには、2元系を選択するか、乱れの極めて少ない3元系を実現する必要がある。 また、液体急冷により初のCe系準結晶を発見した。Ceはランタノイド収縮が最も弱く、原子半径が大きいことに由来し、準結晶の形成が非常に難しいことが予想されていたが、準安定相であるもののこの実現は、今後の物質探索において重要な役割を果たすことが期待される。 最終年度においては、論文投稿の準備として、再現性の確認や、考察・共同研究者とのディスカッションを中心に研究を進めた。
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Research Products
(2 results)