2019 Fiscal Year Research-status Report
RFプラズマスラスターにおける中性粒子供給位置によるイオン・中性粒子挙動の解明
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19K14683
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
桑原 大介 中部大学, 工学部, 講師 (60645688)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 電気推進機 / 高周波プラズマ / 中性粒子供給 / 超音速ガスパフ / イオン速度分布関数 / 空間分布計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
高周波プラズマスラスターの諸パラメータの観測のため、レーザー誘起蛍光法によるイオン・中性粒子速度分布関数の空間分布計測と多チャンネルマイクロ波干渉計による電子密度の空間分布計測を確立することを本年の目標とした。レーザー誘起蛍光法についてはこれまでも計測を行っており、イオン・中性粒子の速度分布関数の取得は出来ていたが、レーザー波長を放電毎に変更する方式を用いていたため、単点の計測に20分程度掛かってしまい、多くの放電パラメータでの空間分布計測が困難だった。この改善のためレーザー波長をパルス放電の最中に掃引できるように改良を試み、放電内で10回程度の掃引を可能とした。これにより、単点の計測は1分程度に短縮され分布計測が容易になった。マイクロ波干渉計については70 GHz帯の4チャンネル送受信機とヘテロダイン高周波回路を完成させ、4視線での線電子密度絶対計測システムを完成させた。干渉計はよく用いられるラングミュアプローブ等による電子密度計測と異なり、絶対電子密度が計測できるところが長所だが、視線積分されるため線平均電子密度が得られる。高周波プラズマスラスターのような直線プラズマを計測する場合、プラズマ断面の電子密度を算出するには分布再構成法が必要となるが、多視線であるためより確度の高い再構成が可能となる。これら2つの計測器が整備されたため、次年度は高周波プラズマスラスターの効率的な評価が可能となった。また、これらの計測を設置するための拡張真空容器の検討を行い、予算内で実現可能な案ができたため次年度の導入を毛投している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レーザー誘起蛍光法については高速波長掃引を行うために外部共振器型ダイオードレーザーの共振器制御系を高速掃引対応に変更した。また、従来波長計測に用いていた高感度波長計は高速掃引に追従できないため、ファブリペロー干渉計を導入して高速波長計測系を整えた。マイクロ波干渉計については、従来用いていた1送信アンテナ-多チャンネル受信アンテナアレイのシステムでは再構成に必要な柔軟な視線配置が困難なため、送信機と受信機を1台ずつで1セットとし、混信を防ぐため送受信機セット毎に異なる照射周波数を生成できる他周波数システムに改造した。現在は4(視線)周波数としているが、このシステムは容易に視線数を拡張できるため、状況によっては8視線程度に拡張し、再構成の精度を向上させることを検討している。また、既設の真空容器は放電部が手狭なため、空間分布を計測できるように多軸ステージに搭載したレーザー誘起蛍光法の照射・受光光学系や、別のステージに搭載したマイクロ波干渉計送受信機を設置するには手狭となってしまった。この解決のため、既存の真空容器を延長することを考えている。観測用の大型真空窓や容器内の設置治具などを追加し、これまでよりも扱いやすい容器となるよう設計を行い、既に業者選定に入っている。
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Strategy for Future Research Activity |
計測器の設置性を向上させた延長真空容器を導入し、整備が完了した高速波長掃引型のレーザー誘起蛍光法装置と4視線マイクロ波干渉計を同時に運用可能な放電部を製作する。これまでに運用してきた高周波アンテナを大気側に設置したシステムの他に、アンテナや放電管を真空容器内に設置した、より実際の運用に近い高周波プラズマスラスター装置も整備する。この装置には電気推進機の評価でも最も重要な推力を計測するスラストスタンドを製作・設置する予定である。従来の計画には無かったが、推力評価も追加することでより現実的な推進機評価が可能になるため積極的に進める。年度後半にはプラズマ実験を行い、目的である中性粒子供給位置を変化させた際のイオン・中性粒子挙動の観測を行い、推進性能が向上する条件を同定し、その原因の解明を行う。
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Research Products
(2 results)