2020 Fiscal Year Research-status Report
Clarification of plasma evolution on new electrode configuration
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19K14685
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
黒田 賢剛 九州大学, 応用力学研究所, 学術研究員 (40795035)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 球状トカマク / 電流駆動手法 / CHI / 磁場閉じ込め |
Outline of Annual Research Achievements |
本件では経済面及び生成プラズマの安定面において優位となる球状トカマク型の核融合炉を実現するために必要なプラズマの電流駆動手法の研究を行う。現在QUEST実験装置において評価しているCHI手法では容器内の電極への高電圧印加によりプラズマを生成して電極から電流を入射させる。この際適切な外部磁場を印加することで入射電流との相互作用により閉じ込め磁場配位が形成され、入射電流をプラズマ中に閉じ込めることが出来る。これにマイクロ波入射によるRF加熱を行うことで長時間持続、及び更なる電流のランプアップが期待される。トカマク型のプラズマは閉じ込め電流に比例して性能が向上(高密度高温度化)するためこのCHI手法による最大電流駆動条件を目指してる。QUESTに導入されたCHIシステムでは新設計の簡易電極が用いられ、この有効性が実証されればCHIを核融合炉へ容易に導入出来る。本件の目的はこの簡易電極においてCHIによるプラズマ形成と電流駆動の理論的解明を行うことでその最大性能を引き出すことである。まずは従来の電極システムと同様の電流閉じ込めを達成させ、その後制御コイルの増設などのQUESTの装置改造を想定した高性能化を実施する。これまでは主に前者に取り組んだ。QUESTの従来の磁場コイル配置に適した電極外側位置からの電流入射方式では電流閉じ込めのための磁場形成が困難であり、電極内側位置からの入射方式に変更することで磁場形成及び電流駆動効率において大きな改善が得られた。両入射方式での比較評価、検討結果は論文(Plasma Fusion Res. 16, 2402048)で発表した。その後その内側位置からの入射方式において真空容器内への試作コイル導入評価、電極形状の変更、着火ガス噴出方法の最適化を行い、それぞれによる明確な改善効果(駆動電流値の増加、安定性など)について論文で発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来の仕様とは異なる新設計の簡易電極においてCHIによる電流閉じ込めを達成することは本件の重要課題の一つである。従来のCHIでは真空容器自体を同軸状の電極として使用し、埋め込まれたセラミックにより絶縁された容器内壁と外壁の間から電流を入射させる。複雑な装置構造ではあるがキャパシター 電源からの強力な入射パワーにより電流が駆動し、安定な閉じ込めが達成されている。本件の簡易電極の有効性が実証できれば真空容器を改造せずにCHIを導入することが出来る。この新しい試みにおける本研究の知見は将来の核融合炉を含め、今後様々な装置へのCHI導入のための道標となる。 磁場と入射電流の相互作用による磁場形成過程を理論的に調べることで電極内側位置からの入射方式での磁場形成における有利性が示された。研究当初はQUESTのコイル配置に適した電極外側位置からの入射方式で立ち上げる予定であったが、このことにより方針が切り替えられ、現在は電極内側位置からの入射方式での最適化評価を行っている。内側入射の場合プラズマの着火性能や電流立ち上がりにおいて不利な面もあったが最適化による改善効果は得られている。駆動電流値はまだ十分ではないが従来の電極におけるCHIと近い磁場形成が達成されていると考えており、今後はQUEST装置改造を伴う高性能化に着手する予定である。当初の外側入射と異なり内側入射の場合、現状のQUESTコイル配置では十分な磁場制御が困難であり、装置改造は必須となる。この大掛かりな装置改造を適切に実施するためにも本研究の意義は重要である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで電極内側位置からの入射方式でのCHIにおける改善評価において十分な成果が得られた。今後はQUEST装置改造を伴う高性能化に着手する予定である。元々CHI立ち上げを想定していないQUESTにおいてそのコイル配置は最適ではない。本件のもう一つ課題はCHIの理論解明の下、装置改造において最適の方法を見出して実証することである。本件申請時はコイルの増設を計画していたが、これまでの研究結果から、電極を設置している装置床面を改造して電極位置を制御コイルに近づける方針が妥当と考える。これにより電極に強い磁場を印加出来るようになりより高い電流制御が可能になる。設計においては理論解析を用いて電極近傍コイル用いた制御による形成磁場及び駆動電流を算出する。電極形状と着火ガスの導入機構については入射電流の電流分布に深く影響して電流立ち上げの安定性に関わる要因となる。これらは理論的に詳細を予想することが困難であるため、これまでの実験評価結果を基に設計して詳細な位置関係は実験において調整評価する。改造後、評価実験を繰り返して生じる問題点を洗い出し、原因を調査して対応策を施す。各種条件において駆動電流値及び磁場形状、密度、温度などの基本データを収集して期待する電流立ち上げ特性が想定通りに制御できているか確認する。以上によりこの簡易電極を用いたCHIによる電流立ち上げ手法をQUEST装置において確立させる。これまでCHIはソレノイドコイルを用いたオーミック加熱と組み合わせることで高効率の電流駆動性能を示している。QUESTではRF加熱と組み合わせることも計画しており、その後は各種加熱方法との結合性について調べる予定である。
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Research Products
(3 results)