2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K14694
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
大谷 芳明 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 那珂核融合研究所 先進プラズマ研究部, 研究員 (10805823)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 干渉計測 / プラズマ計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
プラズマの電子密度時間発展計測を高精度で行うことを目指し、3波長干渉計の開発を進めている。令和2年度は令和元年度、令和2年度で調達した物品を用いて、3波長干渉計システムにおける光学システム及び計測システムの開発を行った。3波長干渉計システムは既存の2波長CO2レーザー干渉計の光路を分岐し、新設のグリーンレーザー干渉計のシステムに組み込むことで開発し、計測に十分な信号を得ることに成功した。既存の2波長CO2レーザー干渉計の計測システムは既存システムを利用し、グリーンレーザー干渉計に対してはロックインアンプを作成し、計測環境を整えた。 まず、システムの健全性を確認するため経路上に位相変化を起こす素子を設置せずに光路上の大気のみの成分を計測した。その結果、2波長CO2レーザー干渉計とグリーンレーザー干渉計の計測結果は、位相変化を距離に換算した場合、おおむね一致していることから、各波長は同程度の大気の擾乱及びミラーの振動を受けていることが分かり、3波長干渉計として機能し得ることを確認した。初期結果としては、得られた信号から提案手法に則って処理を行うことにより、2波長CO2レーザー干渉計ではエラーが大きい領域において、3波長干渉計として機能させた方がエラーを低減できることが確認できた。 今後は、位相変化をさせるための素子を経路上に置き、かつ、経路上の大気に擾乱を与えることでノイズ環境を作り、その中で3波長干渉計が2波長CO2レーザー干渉計と比べ位相変動を精度よく評価できるか調査を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度に新たに調達した音響光学素子によって、適切に周波数変調が行われ、3波長干渉計の基本的な開発を実施し完了した。 3波長干渉計を利用して、経路上に位相遅れを生じさせる素子がない状況で計測を実施した結果、CO2レーザーの位相変化とグリーンレーザーの位相変化は、距離に換算すると、定量的にも同程度の変化をしており、定量的にも同程度の変化をしていることが確認できた。 得られた信号に対し提案手法通り処理を行うと、2波長CO2レーザー干渉計でエラーが大きくなっているタイミングに対しては、3波長干渉計で評価するとエラー成分が減少しており、初期結果としては提案手法が概ね良好に機能していることが確認できた。一方、波長CO2レーザー干渉計でエラー0近傍となる領域では、3波長干渉計で評価するとエラー成分が増大するため、より詳細にデータを評価する必要がある。 当初、原理実証を完遂する予定であったが、令和3年度も引き続き原理実証を進める必要があり、当初予定からはやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
計測システムは概ね完成したと言えるので、エラーが減少しなかった0近傍でのデータを詳細に確認し、原理的な問題か計測上の問題かを切り分けたうえで、対応を検討する。並行して、計測対象を設置し、かつ経路上にノイズを発生させた状況下においてどの程度、本計測機器が有効かを調べるための準備を進める。 準備が整い次第、計測対象を低ノイズで計測できるかどうか実験的に調査する。 これらによる結果をまとめた上で、Review of Scientific Instruments 誌での発表を予定している。
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Causes of Carryover |
音響光学素子等の物品費が当初想定していたよりも安価に抑えることができたため差額が生じた。生じた差額は光学素子の保守費用や論文投稿の経費等に充てることを予定している。
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