2019 Fiscal Year Research-status Report
強化学習による適応的制御を用いたプラズマの複合制御の実現
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19K14697
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
若月 琢馬 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 那珂核融合研究所 先進プラズマ研究部, 主任研究員(定常) (40734124)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | トカマク / 適応的制御 / 強化学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで、統合モデリングコードTOPICSを用いたシミュレーションを繰り返して強化学習することで構築した、イオン温度勾配の適応的制御システムをJT-60Uの実験データを用いたシミュレーションによって検証してきた。プラズマを加熱することでイオン温度分布の制御に使用する中性粒子ビームは入射位置の異なる複数のユニットが存在し、それらの組み合わせを変えることでプラズマの加熱分布を変更することができる。 そこで2019年度は、中性粒子ビーム入射の総パワーだけでなく、ユニットの組み合わせを学習することで、局所的なイオン温度勾配だけでなく、イオン温度分布全体を制御し、核融合出力の指標となる中性子発生量を同時に適応的に制御するシステムの構築を目指した。さらに、発電を行う核融合炉では核融合反応による自己加熱が支配的なると考えられ、中性粒子ビーム等による加熱入力に対するイオン温度勾配、中性子発生量の応答の非線形性は非常に強くなり、制御が困難になると考えられる。この状況を模擬するために、中性子発生量に比例して自己加熱を模擬した中性粒子ビーム入射が行われる設定のシミュレーションに対して学習を行った。 その結果、これまでと同様の学習パラメーターでは正しい制御特性が学習できなかったものの、学習パラメーターを調整することで、わずかな加熱の違いが大きなイオン温度分布、中性子発生量の違いを生み出す非線形性が強い状況でも適切な制御を行うシステムが構築できるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
強化学習により構築したイオン温度勾配の適応的制御システムをJT-60Uの実験データを用いたシミュレーションによって検証した結果について、核融合プラズマの制御や運転シナリオ研究の専門家が集まる国際トカマク物理活動統合運転シナリオトピカルグループ会合にて発表を行った。また、本研究結果に基づいて米国DIII-D装置での実験の可能性について米国ジェネラルアトミクス社の研究者に問い合わせを行ったが、2019年度は2020年分の実験提案の募集が行われず、本研究に関する実験提案をすることはできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
米国DIII-D装置での2021年以降の実験提案に向けて、担当者との協議を進めるとともに、DIII-D装置のパラメーターで強化学習を行うため、シミュレーションに必要な情報収集を行い、イオン温度勾配制御の学習を行う。
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Causes of Carryover |
米国DIII-D装置での実験提案募集がなかったため、2019年度は米国出張を行わなかった。2020年度以降に実験提案について打ち合わせを行うための旅費として使用する予定。
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Research Products
(2 results)