2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K14701
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長井 遼 東京大学, 宇宙線研究所, 特任研究員 (80838285)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 低エネルギー有効理論 / 電弱精密測定 / 電弱対称性の破れ |
Outline of Annual Research Achievements |
対称性の自発的破れを記述する非線形シグマ模型の構成方法を用いて,任意の拡張ヒッグス模型を記述する有効理論のスカラーセクターを構成した.従来のヒッグス有効模型では,標準模型に含まれない粒子はTeVスケール以下に存在しない,といった特殊な状況が仮定されていたが,本研究で扱うヒッグス有効模型は,125GeVヒッグス粒子以外のスカラー粒子も自由に取り入れることができる.この一般化されたヒッグス有効模型では,スカラー場を内部空間の座標とみなすことができ,ゲージボソンとスカラー場の相互作用の詳細がスカラー場によって張られる内部空間の幾何と対称性によって特徴付けられる.また,スカラー場の自己相互作用はスカラー関数の微分量によって記述される.この性質に着目し,縦波ゲージボソン散乱振幅と電弱精密測定パラメータの摂動最低次数を計算したところ,それぞれの結果が内部空間上の共変量で表せることがわかった.これにより,一般の拡張ヒッグス模型における縦波ゲージボソン散乱振幅と電弱精密測定パラメータを計算するための公式を見通しの良い形で得ることができた.また,ここで得られた一般公式を用いて,拡張ヒッグス模型における散乱振幅の摂動論的ユニタリティーと電弱精密測定パラメータの紫外発散の関係を調べたところ,摂動論的ユニタリティーはスカラー多様体の平坦性を要求し,一方で電弱精密測定パラメータの有限性は多様体が曲率を持つ場合でも保証できることがわかった.この結果は,査読付き論文にまとめ,1件の国際会議,5件のセミナー(国外1件,国内4件)で発表した.
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Research Products
(7 results)