2019 Fiscal Year Annual Research Report
Cosmological Research in Axion Physics: Phenomenology of Parity-Violation in Polarized Photon
Project/Area Number |
19K14702
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小幡 一平 東京大学, 宇宙線研究所, 特任研究員 (50823621)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アクシオン / 原始重力波 / 暗黒物質 / 重力波干渉計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、アクシオンがもたらすゲージ場(光子)のパリティ対称性の破れを手がかりに、宇宙初期から現在までに至るアクシオンの検証方法を新たに開拓し、将来の観測実験と結びつけることである。本年度は共同研究者らと共に、研究計画に記載していた (1)アクシオンが予言する原始重力波の持つ統計的非ガウス性の解析、および(2)光共振器を用いたアクシオン暗黒物質の検証方法の開拓、の2つについて、当初の予定通りに研究を遂行できた。 (1) アクシオンがインフレーション期にゲージ場と結合していると、ゲージ場の偏光1成分が増幅され、増大したゲージ場がパリティの破れた重力波を生成し、将来のCMB観測で検証できる可能性がある。我々は前年度から進めていたアクシオン-SU(2)ゲージ場モデルが予言する重力波と密度揺らぎとの3点相関の解析を完了し、論文をJCAPに掲載することができた。 (2) アクシオン暗黒物質が光子と結合していると、直線偏光を持つ光の偏光面がわずかに回転し、アクシオンの質量に依存して周期的に振動する現象が起こる。我々は、重力波干渉計のような大型光干渉計のレーザーの偏光回転を精密に測定することで、アクシオン-光子結合定数を既存の実験観測よりも高精度に検証できることを発見した。我々の提唱した方法が実際にLIGOやKAGRAなどの地上型干渉計、或いは将来計画されているDECIGOなどの衛星型干渉計に適用されれば、重力波観測と並行してアクシオン暗黒物質の探査が可能になる。この研究論文はPhysical Review Letter誌に掲載された。さらに、本研究は日本経済新聞などの大手新聞社の記事にも掲載され、社会からも注目を集めた。
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