2019 Fiscal Year Research-status Report
銀河の多点相関関数解析を用いたダークエネルギーの制限
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19K14703
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
杉山 尚徳 国立天文台, 科学研究部, 特任助教 (70728360)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 三点相関関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
宇宙論における銀河観測の研究は、これまで主に二点統計量を取り扱うことが主だった。しかし、近年ますますデータが膨大かつ精密になる中で、得られたデータをどのように最大限利用するかに焦点が移り始めている。本研究は、この世界的な流れにいち早く着目し、銀河の三点相関関数を用いた宇宙論パラメータの決定のための解析手法を確立することを最終的な目標としている。 三点相関関数自体は40年以上前から研究され続けてきたものだが、しかしその解析の困難さから、これまで本格的に宇宙論解析に用いられることはなかった。この数年徐々に三点統計量を用いたデータ解析の研究が出始めている。本研究では、銀河三点統計量の中に含まれる赤方偏移歪みという効果に着目する。この赤方偏移歪みは、銀河の固有速度に由来した効果であり、銀河分布の力学的な性質を調べるために非常に有用な効果である。二点統計量における解析でも、赤方偏移歪みを観測することがデータ解析においてもっとも重要なものの一つである。しかし三点統計量においてはこれまで実際にデータ解析がされたことがなかった。本研究が完成した暁には、三点統計量の赤方偏移歪みの解析が標準化し、私たちは大規模な銀河観測データからさらに詳細に宇宙についての情報を得られることができるようになるだろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は、銀河三点相関関数の研究において、その統計エラーの理論的な研究を行うことで、実際のデータ解析の準備を行った。この研究は論文としてまとめられ、現在学術誌に投稿中である。また、その論文を踏まえて、現在まさに三点統計量のデータ解析を行っている最中であり、予定通り順調に研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、まずは実際の銀河三点統計量のデータ解析手法の確立を目指す。そして一度データ解析手法を確立した暁には、その解析パイプラインを標準宇宙モデル以外の様々な理論モデルに対して適用し、これまで得ることのできなかった様々なパラメータの制限を行うことを目標としている。例えば、三点統計量は宇宙の最初期起こったとされる宇宙のインフレーション膨張の検証に非常に有用であることが知られている。しかし、未だに銀河三点統計を用いたインフレーション理論の検証はされていない。このように本年度において三点統計量の標準的な解析手法を確立したのち、世界初の銀河三点統計量によるインフレーション理論の検証の研究をスタートすることを目標とする。
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Causes of Carryover |
次年度には、すでに今年度以上に参加予定の研究会、研究打ち合わせが控えており、十二分な旅費を確保するため。
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