2022 Fiscal Year Research-status Report
銀河の多点相関関数解析を用いたダークエネルギーの制限
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19K14703
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
杉山 尚徳 国立天文台, 科学研究部, 特任助教 (70728360)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 宇宙論 / 宇宙大規模構造 / ダークマター |
Outline of Annual Research Achievements |
現在の宇宙は加速的に膨張しており,その原因は,ダークエネルギーという未知のエネルギーが宇宙に満ちていると考えられています.しかしながら,ダークエネルギーの理論的正体は現在では全くの不明です.アインシュタイン方程式の中で宇宙定数という項を加えることで現在の加速宇宙を説明できることは知られていますが,それには宇宙定数を不自然なまでに小さい値とする必要があります.ダークエネルギーは本当に宇宙定数なのか,時間発展はしないのか,などは,私の専門である観測的宇宙論における主たる興味となっています.
これまでダークエネルギーの制限には,数十万個にも及ぶ銀河の分光データから,銀河の2点相関関数という統計量が用いられてきました.本研究では,2点相関関数を超えて,銀河の3点相関関数という新たな統計量を測定し,そこからダークエネルギーへの制限を与えることを目的としています.これまで私は,銀河の3点相関関数の新たな測定手法を開発し,また測定値を説明するための理論モデルを用意するなど,宇宙論的な統計解析に必要な道具を全て一から開発してきました.そして,実際の宇宙を模したモックシミュレーションデータに対し,私の開発した解析手法を適用し,正しく宇宙論パラメータを推定できることも確認することに成功しました.これらの研究成果をもとにして,現在では,確立した解析手法を実際の銀河データに適用する研究を進めています.
私は,2022年1月1日から2022年12月31日までの1年間,育児休業を取得し,研究活動を中断していました.しかしながら,研究活動再開後にはこれまでの研究成果をまとめ,論文を執筆し,現在論文誌に投稿中となっています.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
銀河の非等方三点相関関数という,私独自の統計量解析手法を確立するにあたって,事前の予想とは異なる様々な発見がありました.例えば,当初はダークエネルギーへの制限を強化することを目的としていましたが,三点統計量が重力理論の検証に非常に有用であることを新たに発見しました.このように,研究を進めることで当初の予想を上回る発見があり,計画以上に研究が進展していると判断しました
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は,シミュレーションにおいてその妥当性を確かめた,銀河三点相関関数の解析手法を,実際の銀河データに適用する研究を完成させることです.そうすることで,世界最高精度のダークエネルギーへの制限を達成することが可能となると考えています.
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Causes of Carryover |
私は,2022年1月1日から2022年12月31日にかけて一年間,育児休業を取得していました.そのため,2022年度の科研費使用可能期間は2023年1月から3月までの間に限られていました.従って,次年度使用額が生じました.
翌年度においては,コロナにおける規制も緩やかになつつある現状,これまで数年の間自粛していた対面での国際会議に積極的に参加するために,科研費を使用する予定です.
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Research Products
(1 results)