2020 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of quantum critical phenomena in a statistical system with quantum gravitational effects
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19K14705
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐藤 勇貴 名古屋大学, 高等研究院(理), 特任助教 (70714161)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ワームホール / 弦感受率 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は重力の量子論的効果が存在する2次元空間の統計模型の内、原子の次期モーメントを模したイジングスピンの近接相互作用を含む模型である「カザコフ模型」において、ゼロ温度での臨界現象である量子臨界現象の性質を調べ、量子臨界現象が示す性質を体系的に理解することを目的としている。 具体的には(1)「量子臨界点でのイジングスピンの変化の解析」、(2)「量子臨界点での重力の変化の解析」及び(3)「量子臨界点で現れる対称性の解析」を行う計画を立てた。昨年度までにゼロ温度での磁化に対応する臨界指数を計算する事で(1)を調べた。その際、ゼロ温度への近づき方を特徴付けるパラメータを発見し、臨界指数はそのパラメータの関数で表せることを示した。 本年度は(2)及び(3)を解析するにあたり、イジングスピンが存在しない状況をまず詳細に調べた。特に(3)に関連し、ゼロ温度に最も速く近づく場合(力学的速さではなく、相空間での近づき方の意味)に対応する状況で、その物理を正確に記述する場の理論を同定することに成功した。その場の理論は、非等方スケーリングを持つ2次元重力理論(=projectable Horava-Lifshitz gravity)にある種のワームホール相互作用を導入したものである。さらにワームホールの効果は、時間的に揺らぐ宇宙項でも再現できることを示した。また(2)に関連し、2次元空間の幾何的性質を特徴づける臨界指数(=弦感受率)はこの場合、1/2であることを確認した。今後はイジングスピンが存在する状況で、上記の性質がどのように変化するかを具体的に調べる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画をより簡単化することで問題の本質を整理することができ、論文として発表することができたため、概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
まずはイジングスピンが存在しない状況の理解が極めて重要であると考える。特に量子臨界点への近づき方を定量化するパラメータが、対応する場の理論ではどのように現れるのかを解明していきたい。
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Causes of Carryover |
COVID-19による影響で予定していた海外渡航を取り止め、また予定されていた研究者の招聘がキャンセルとなったため、次年度使用額が生じた。 翌年度分として請求した助成金は予定通り使用することとし、次年度繰越額に関しては在外研究及、研究会参加及び研究者の招聘等の目的で使用する予定である。
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Research Products
(7 results)