2020 Fiscal Year Annual Research Report
中性子星観測によるアクシオン暗黒物質の間接検出に向けた理論研究
Project/Area Number |
19K14708
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
北嶋 直弥 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (50737955)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 暗黒物質 / アクシオン / 中性子星 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、宇宙の暗黒物質の有力候補であるアクシオンに着目し、中性子星の観測によるアクシオン暗黒物質の間接検出が可能かどうかを理論的に検証する。そのため、電磁場との相互作用を含むアクシオン暗黒物質のダイナミクスを詳細に追うための3次元格子シミュレーションを新規に開発し、アクシオン特有のシグナルがどのように予言されるか、及び、近い将来に観測を開始する電波望遠鏡SKAによって検出可能かどうかを明らかにすることを目的としている。 2020年度はアクシオンとゲージ場の相互作用について、宇宙初期における進化の過程を格子シミュレーションにより解析し、検出可能なレベルの重力波が生成されることを明らかにした。特に中性子星パルサーの電波観測の代表例であるパルサータイミング測定によって検出可能なnHzの周波数帯で重力波が生成されることを明らかにし、近い将来に科学観測を開始するSKAでアクシオン暗黒物質が検証可能であることを初めて指摘した。さらに、詳細な数値解析により、重力波の円偏極モードを計算し、アクシオン暗黒物質特有のシグナルとして、円偏極した重力波が予言されることも初めて明らかにした。この結果は次世代の重力波観測における円偏極測定の重要性を指摘するものである。尚、最近の国内外の研究動向を鑑み、当初計画していた電波シグナルの計算から重力波シグナルの計算へシフトしたが、研究対象、研究目的、研究手法に変わりは全くない。 2020年度の研究成果はNano-Hz Gravitational Wave Signature from Axion Dark Matterをはじめ、3件の論文にまとめ、発表した。また、第9回観測的宇宙論ワークショップ、日本物理学会年次大会、若手による重力・宇宙論研究会(招待講演)及び、他2件の国際研究会において口頭発表を行なった。
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Research Products
(8 results)