2021 Fiscal Year Research-status Report
共形場理論における相対エントロピーとその様々な分野への応用
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19K14716
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宇賀神 知紀 京都大学, 白眉センター, 特定助教 (00837239)
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Project Period (FY) |
2020-03-01 – 2025-03-31
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Keywords | ブラックホール / 量子情報理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
量子エンタングルメントとブラックホール内部の関係性について研究した。特にブラックホールのアイランド公式は、ブラックホールの微視的な状態と、ホーキング放射の間の量子相関が、ブラックホール内部の時空構造を決定してしまうことを示唆する。その応用として、我々の最近の論文 では、二つの全く繋がりのないブラックホール A,B を用意し、それらの間の量子相関を大きくしていった場合に、(独立だった)A,B の内部がアインシュタインローゼン橋でつながることを、アイランド公式の観点から示した。このことは量子相関という情報理論的な概念が、アインシュタインローゼン橋という時空の幾何学的な構造と、一般相対論のダイナミクスを通じて直接対応していることを示している(ER = EPR対応)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
相対エントロピーとはやや独立なアプローチではあるが、アイランド公式を拡張することによって量子情報とブラックホールの内部の時空構造のについての理解を深めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
特に相対エントロピーの定義の中に現れる、モジュラーハミルトニアンと呼ばれる演算子を用いたフロー、いわゆるモジュラーフローをホーキング放射に用いることでページ時間以降のブラックホール内部構造の情報が、得られるはずである。この手法についてよりよく理解することを目指す。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、想定された海外研究打ち合わせ等ができなかったため。
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Research Products
(3 results)