2022 Fiscal Year Annual Research Report
Determining the inflationary particle content through the cosmological collider physics
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19K14718
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Research Institution | Suwa University of Science |
Principal Investigator |
白石 希典 公立諏訪東京理科大学, 共通・マネジメント教育センター, 講師 (00803446)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | インフレーション / アクシオン / ゲージ場 / 宇宙マイクロ波背景放射(CMB) / 銀河 / 重力波 / パリティの破れ / 非ガウス性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、理論、観測双方向からのアプローチによってインフレーションの構成粒子の特定を目指した。以下は、本年度行った観測的研究の成果を記す。 [1] インフラトンと共にU(1)ゲージ場と結合したアクシオンが存在するインフレーションモデルを、宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の温度・E/Bモード偏光場の最新観測データ(Planck + BICEP/Keck)を用いて検証した。特異な信号が検出されなかったことから、モデルパラメータであるアクシオンとゲージ場の結合定数やアクシオンの速度などに対する新たな上限値が得られた。これは、先行研究における温度・Eモード偏光場の観測データ(WMAP)を用いた検証結果と無矛盾であり、より不定性の少ないものである。 [2] 近年検出されたCMBのEモード偏光場とBモード偏光場の相互相関(EB相関)の起源を、宇宙の晴れ上がり期(宇宙誕生から約38万年後)以降の未知の物理機構に見出す研究が多くみられる。一方で、インフレーション起源のカイラルな重力波からもEB相関を生成することは理論的に可能である。我々は後者の「原始宇宙起源説」を初めて検証し、EB相関と同時に生成されるBモード偏光場の自己相関(BB相関)があらゆる場合で観測結果と矛盾してしまうことを突き止めた。この結果、原始宇宙起源説の困難さが浮き彫りとなった。 [3] JAXA主導の次世代CMB偏光観測プロジェクトLiteBIRDで用いる衛星観測機器の開発実験や感度評価に携わった。 上記の成果はすでに複数の論文にまとめ、世界に公表している。
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