2021 Fiscal Year Annual Research Report
情報のスクランブリングに基づく熱化・量子カオスの機構の解明に向けた研究
Project/Area Number |
19K14724
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
野崎 雅弘 国立研究開発法人理化学研究所, 数理創造プログラム, 基礎科学特別研究員 (20804777)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 非平衡 / 量子情報 / ゲージ/重力対応 / 熱化 / スクランブリング / 非一様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
情報のスクランブリングとは非平衡過程において、初期状態の情報が局所的に失われる現象である。この現象を引き起こす効果は非平衡現象のダイナミクスを特徴づけ、重力双対を持つ量子場の理論は、最大のスクランブリング効果を持つことが知られている。このため、最大のスクランブリング効果が引き起こされる機構を明らかにすることは、ゲージ/重力対応のような、最大のスクランブリング効果を持つ量子場の理論と(量子)重力理論の等価関係が成立する機構を解明することにつながると期待できる。また、この効果は情報を拡散、非局在化させるため、これを利用してより安全な量子的な通信技術を構築できることが期待できる。ある場所に局所的に情報を集める効果をダイナミクスに取り入れることが、このようなスクランブリング効果を弱めることに繋がると期待し、非一様なダイナミクスにおいて非平衡現象を研究した。この非一様なダイナミクスは一様なダイナミクスを参照に構成することができるため、最大のスクランブリング効果を持つダイナミクスに関しても、この効果を取り入れる事ができる。例えば熱平衡状態のような非常に情報がスクランブルされた後の状態に関し、この様な非一様なダイナミクスを適用した場合、ある領域に情報を集める事ができ、その結果、この領域を含まない部分系の相関などを回復し、これが真空状態の相関で与えられることを見出した。また、この様な場合でも対応する重力双対が存在することを見出した。また、最も大きく発展があった点として、このようなダイナミクスを実装できる実験系の提案をおこなった。現在は、この様な非一様なダイナミクスを応用して、ある領域にのみ情報を送ることのできるダイナミクスを発見し、研究をおこなっている。
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Research Products
(4 results)