2021 Fiscal Year Research-status Report
Measurement of antiproton production cross section near the threshold
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19K14747
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
森津 学 九州大学, 理学研究院, 助教 (20760010)
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Project Period (FY) |
2021-03-01 – 2023-03-31
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Keywords | 反陽子 / ミューオン・電子転換 / レプトンフレーバ非保存 / J-PARC |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はミューオン・電子転換探索実験COMETにおける反陽子起因背景事象を抑制し、標準理論を超える新物理の発見に資するものである。COMET実験では一次陽子ビームと標的原子核との反応で生成した反陽子が測定領域まで輸送され信号事象と同じエネルギーの電子を放出する反陽子起因背景事象が存在する。この背景事象はこれまであまり重視されてこなかったが、近年シミュレーションの精度向上により支配的な背景事象となる可能性が指摘されている。現在の見積りの問題点は、COMET実験で用いる8 GeV陽子ビームエネルギーでの反陽子生成断面積の実験データがないために10 GeV以上のデータからの外挿に頼っている点にある。本研究では8 GeV近傍における反陽子の生成微分断面積を直接測定することを目指す。これによりCOMET実験における反陽子起因背景事象の見積り精度を向上させ、実験感度向上につなげる。 この実験における困難は反陽子より10~100万倍多く生成するパイ中間子との弁別である。そのためのトリガーやデータ解析技術の開発を進めている。今年度は10月に「海外における研究滞在による中断」を終了し本研究活動を再開した。九州大学に着任後、研究環境の構築をおこなった。測定器開発に使用できる実験スペースやコンピュータでのシミュレーション環境の整備をおこなった。トリガー検出器としては当初から考えていたアクリルチェレンコフ検出器に加えて反陽子の対消滅信号を用いた弁別についても検討をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は10月に「海外における研究滞在による中断」を終了して本研究活動を再開した。そのため十分な時間が確保されていたとは言い難い。帰国後に新しい研究現場で、測定器開発に使用する実験環境やシミュレーションに用いるコンピュータ環境の整備をおこなう必要があった。また、新型コロナウイルスの影響が依然として継続しており、出張や接触機会の制限から研究活動を進める上でも困難があった。その中でも研究環境の整備は概ね完了し、徐々にではあるが本格的な活動に移行できつつある。並行して新しいトリガー手法の検討も進めており具体的なアイデアに結び付けられることを期待している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、まず具体的な計算やシミュレーションに基づいて測定手法の有効性を確認し、実験計画を検証する。当初から検討していたアクリルチェレンコフ検出器の開発を進め、必要であればビーム試験をおこなうことを予定している。輻射体の厚みや反射材の種類、読出しセンサーなどについて、パイ中間子での検出効率が99%以上となるように最適化をはかる。並行して反陽子の対消滅信号による弁別についても検討を進める。実験提案書を作成し、最終的には加速器陽子ビームを用いた反陽子生成断面積測定の本実験を目指す。 本研究ではCOMET実験で特に重要となると考えられる200~400 MeV/c前後の反陽子の生成微分断面積を測定する。また、8 GeV近傍における反陽子生成断面積の入射エネルギー依存性も測定する。これは、もし8 GeVでの反陽子生成断面積が予想以上に大きい場合には、COMET実験での陽子ビームエネルギーを下げる可能性を検討するためである。まずは実験データの存在する10 GeVの陽子ビームエネルギーで実験を始め、先行実験と比較することで実験の正確性を確認する。その後、 7~9 GeVの数点でデータを取得し8 GeV近傍でのエネルギー依存性を測定する。これによりCOMET実験における反陽子起因背景事象の正確な見積りを提供し、実験の高度化につなげる。
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Causes of Carryover |
今年度は10月に「海外における研究計画の中断」を終了し研究活動を再開したため、実質活動期間は半年であった。新しい研究現場での研究環境の整備を優先して進めたため、検出器の量産などは次年度に持ち越すことにした。また、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて研究や学会での出張がおこなえず、旅費を使用する機会が全くなかった。次年度はウイルスとの共生に向けた経験値が貯まってきていることもあり、感染拡大防止と社会・経済活動との両立が進み、研究活動への影響も最小限にとどめられると期待している。
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Research Products
(5 results)