2022 Fiscal Year Annual Research Report
Direct estimation of turbulent transport coefficients in solar mean-field dynamo models
Project/Area Number |
19K14756
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
飯島 陽久 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 特任助教 (90783952)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 乱流 / 太陽 / 磁場 / 光球 / ダイナモ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、太陽型星の対流層表層における平均場的な磁束輸送メカニズムの解明を見据え、多くのモデルで自由パラメータとなっている乱流輸送係数を直接計算から評価することである。 当初計画では乱流輸送パラメータの直接評価に基づいて、平均場モデルを開発し観測と比較するという流れを想定していたが、平均場モデルの開発がスムーズに進んだため、研究計画前半で平均場モデルと観測データとの比較研究を行った(Iijima et al., 2019, ApJ)。まず、多次元の自由パラメータ空間を網羅的に探索し、観測と最も良く整合する自由パラメータを決定した。そのうえで、これまでのモデルで無視されていた黒点の空間対称性が太陽極磁場の形成、ひいては次の(11年後の)太陽活動周期へ影響することを明らかにした。 一方で、乱流輸送パラメータの直接評価自体は試行錯誤を要した。まず、黒点に代表される強磁場領域での数値不安定に悩まされた。これはプラズマと磁場のエネルギー交換を離散的に表現出来るエネルギー整合差分法(Iijima, 2021, JCP)を開発することで解決した。次に課題となったのが、太陽表層の物理的特性である。先行する多くのダイナモモデルは非圧縮、弱非線形、ローレンツ力の無視を仮定していたが、太陽表層は強圧縮、強非線形で、ローレンツ力が加わる扱いづらい乱流場である。研究が進むにつれ、そもそもこれらの物理過程を十分精密に記述する既存モデルが存在しないことに気づいた。そこで、乱流による高次相関量の発展方程式を厳密な形式で導出し、直接計算からその近似モデルが構築可能かという観点で検証を行った(論文投稿準備中)。 本研究により、経験的に扱われてきた恒星表層の磁気乱流を定量的に扱う枠組みを確立することが出来たと考えている。この枠組みに基づいて、今後より定量的な恒星ダイナモ研究を進められると期待している。
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Research Products
(8 results)