2019 Fiscal Year Research-status Report
eROSITA・すばる・京大せいめい望遠鏡で探る超巨大ブラックホールの成長史
Project/Area Number |
19K14759
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鳥羽 儀樹 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(PD) (40825957)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 超巨大ブラックホール / すばる望遠鏡 / eROSITA衛星 / せいめい望遠鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
宇宙に普遍的に存在する超巨大ブラックホールの成長史を探るため、本年度は下記の研究成果を得た。 まず、私が参加している「すばる」望遠鏡の新型カメラ Hyper Suprime-Cam (HSC) を用いた可視光線広域撮像計画で得られたデータとNASAのWISE赤外線全天探査衛星データを併用することで、特別な進化段階にいると期待される活動銀河核(活動的な超巨大ブラックホールを宿す天体)サンプルを構築した。次に、本年度に打ち上げられたドイツとロシアのX線全天探査衛星の初期データを、構築した活動銀河核サンプルに適用することでサンプルのX線情報を取得した。X線データと赤外線データの詳細な解析から視線方向の水素の柱密度が log NH ~22-23 /cm^2 程度の、ガスや塵に包まれた活動銀河核候補を多数発見した。さらに、遠赤外線までの多波長データを解析することで赤外線光度が log LIR = 14 太陽光度に匹敵する宇宙一明るい超巨大ブラックホール候補を発見した。 それ以外にも (i) HSC を用いて発見した電波銀河に対して多波長観測データを併用した母銀河および中心核ブラックホールの性質調査 (Toba et al. 2019b)、(ii) 先述したサンプルのNuSTAR X線衛星での観測を通した天体の水素柱密度の測定 (Toba et al. 2020)、 (iii) Toba et al. (2018) で発見が報告された赤外線で極めて明るい銀河のSOFIAスペースクラフトでの追観測による、塵の温度やより正確な赤外線光度の測定 (Toba et al. 2020b)などの成果を挙げた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の鍵となるデータは eROSITA衛星によるX線データである。eROSITA衛星は本年度7月に無事に打ち上がり、順調に全天探査を進めている。一部のデータは既に取得・解析され、初期データがチーム内に公開された。私は、eROSITA衛星で得られたX線点源カタログにHSCの可視光線情報を付加する仕事を担当し、第1版のeROSITA-HSCカタログはチーム内に広く公開された。自身のサイエンスでは、私がこれまでHSCやWISEを用いて構築してきた活動銀河核サンプルにeROSITA初期データを併用することで、今までのX線探査では見落とされていたような活動銀河核のX線情報(ハードネス比など)を取得した。また、可視光線の分光データやHSCデータなどに基づいて推定された距離(赤方偏移)の情報を用いることで、活動銀河核サンプルのX線光度や星質量・星生成率などを見積もることができた。 また、関連論文も3本(Toba et al. 2019, ApJS, 243, 15: Toba et al. 2020a, ApJ, 888, 8; Toba et al. 2020b, ApJ, 889, 76)出版することができた。 以上より、本研究計画はおおむね順調に進展している と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
eROSITAで取得されたデータの質は解析パイプラインの更新に伴い向上していくことが期待される。来年度は、ある天域におけるX線カタログの最終版がチーム内に公開される見込みである。また来年度、京都大学「せいめい」望遠鏡は装置のアップデートに伴い観測性能が向上する見込みである。これらのデータを用いることで、eROSITAで発見された活動銀河核のより正確な距離や光度などの基本情報を得る。 また、既に見つかった興味深い天体の追観測(e.g., アルマ電波干渉計など)提案も提出予定である。観測が受理されれば、eROSITAで初めて見つかるような活動銀河核の母銀河や中心核ブラックホールの性質を調べることが可能となる。
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[Journal Article] S2COSMOS: Evolution of Gas Mass with Redshift Using Dust Emission2020
Author(s)
Millard Jenifer S、Eales Stephen A、Smith M W L、Gomez H L、Ma?ek K、Simpson J M、Peng Y、Sawicki M、Beeston R A、Bunker Andrew、Ao Y、Babul A、Ho L C、Hwang Ho Seong、Micha?owski M J、Scoville N、Shim H、Toba Y
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Journal Title
Monthly Notices of the Royal Astronomical Society
Volume: 494
Pages: 293~315
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Torus Constraints in ANEPD-CXO245: A Compton-thick AGN with Double-peaked Narrow Lines2019
Author(s)
Miyaji Takamitsu、Herrera-Endoqui Martin、Krumpe Mirko、Hanzawa Masaki、Shogaki Ayano、Matsuura Shuji、Tanimoto Atsushi、Ueda Yoshihiro、Ishigaki Tsuyoshi、Barrufet Laia、Brunner Hermann、Matsuhara Hideo、Goto Tomotsugu、Takagi Toshinobu、Pearson Chris、Burgarella Denis、Oi Nagisa、Malkan Matthew、Toba Yoshiki、et al.
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Journal Title
The Astrophysical Journal Letters
Volume: 884
Pages: 10~15
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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