2020 Fiscal Year Research-status Report
Multi-dimensional radiation-hydrodynamic simulations of luminous supernovae
Project/Area Number |
19K14770
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
鈴木 昭宏 国立天文台, 科学研究部, 特任助教 (50647659)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 超新星爆発 / 放射輸送 / 流体力学 / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、重力崩壊型超新星爆発の中でも特に明るく輝く種族である超高輝度超新星の起源解明を目指す。明るい超新星の起源には多くの未解明な点が残されており、様々な起源シナリオが提唱・検討されている。本研究では明るい超新星の具体的な起源シナリオに基づいた放射流体シミュレーションを実施し、明るい超新星からの電磁波放射の統一的描像に迫る。
本年度は、超新星の噴出物(エジェクタ)と爆発する星が爆発前10-1000年程度の期間に放出した物質(星周物質)との衝突で輝いていると思われる超新星(IIn型超新星)および何らかの中心天体からエネルギー注入がある超新星エジェクタの進化に関する研究を進めた。前者については、IIn型超新星の光度曲線がどのような物理パラメータに依存しているかを広いパラメータ範囲でサーベイする研究を行なった。また、史上最も明るかったと考えられる超新星 SN2016apsの光度曲線モデルを1次元放射流体シミュレーションによって構築し、可視光光度曲線が30太陽質量程度の超新星エジェクタと8太陽質量程度の星周物質の衝突によってうまく再現されることを発見した。さらに、超新星エジェクタは通常の超新星の約10倍のエネルギーで爆発していることが必要だと分かった。後者については、2次元放射流体シミュレーションを実施し、その光度曲線が視線方向によって大きく変わる可能性を明らかにした。このようなシミュレーションはまだ実施されたことはなく、当該分野で世界に先駆けた研究成果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は「研究実績の概要」に挙げた2つの研究について、星周物質と衝突して輝く超新星に関する査読論文を2編、中心天体からのエネルギー注入によって輝く超新星に関する査読論文を1編、と計3編の査読論文を出版した。この成果は初年度から継続的に研究が進展してきた結果である。 星周物質と衝突して輝く超新星に関する研究のうち、SN 2016apsについての研究は、本課題によって出版された過去の査読論文から国際共同研究に発展したことで実現したものである。これは当初の計画には盛り込まれていなかったものの、重要かつ緊急性が高い問題であると判断して優先的に取り組んだ。その成果は海外の観測家との共著論文として出版されており、COVID-19の感染拡大に伴い世界的に国際共同研究が推進しにくくなった状況において新しく生まれた国際共同研究の成果となった。以上の背景から、本課題が当初の計画以上に研究が進展したと判断するに至った。
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Strategy for Future Research Activity |
「現在までの進捗状況」で述べたように、本課題は順調に進展しており研究計画の変更は必要ないと考えている。今後は星周物質と衝突して輝く超新星のパラメータサーベイやスペクトル計算などに取り組むとともに、SN 2016apsに関する研究のように観測家との共同研究も積極的に推進していく。
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Causes of Carryover |
本年度はCOVID-19感染拡大の影響で世界的に国際研究会が少なく、開催されたとしてもオンラインによるものが多かったため、国内外を含めた旅費使用額が予算と比べて大幅に減額となった。 次年度については、状況が改善される可能性もあり、可能であれば国外への渡航費などに使用したい。しかしながら、状況は依然不透明であり、場合によっては予算をシミュレーション結果格納のためのストレージの購入などに充てる可能性もある。
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Research Products
(9 results)