2020 Fiscal Year Research-status Report
ガス-ダスト2相流体数値シミュレーションによる惑星移動モデルの再構築
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19K14779
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
金川 和弘 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 研究員 (60720787)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 惑星形成 / 巨大ガス惑星 / 原始惑星系円盤 / 円盤-惑星相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
惑星は原始惑星系円盤中で誕生し周囲のガスとの重力相互作用によって中心星に向かって落下する。昨年度の研究では、円盤外縁部で形成した惑星が周囲のガスとの相互作用により急速に中心星方向に落下した場合、惑星位置とガスギャップの中心にずれが生じ、そのずれの大きさから惑星質量、円盤パラメータを見積もるモデルを構築した。 本年度はこのモデルをALMAによって得られたTW Hyaのガスギャップ構造に応用して惑星質量、円盤の物理状態を議論した。惑星とギャップ中心のずれは6AUほどであり、これは惑星周囲で2g/cm^2ほどで乱流粘性の強さを表すαパラメータは比較的小さい値(~10^{-4})ほどであると見積もることができた。これは観測結果から示唆される乱流強度と整合的であり、先行研究で行われた化学反応ネットワーク計算から示唆されるガス密度とも矛盾しない。 この惑星とギャップのずれは惑星が円盤外縁部で形成し、その後急速に内側に落下している観測的証拠である可能性がある。 この結果は国際学術雑誌The Astrophysical Journal Lettersに掲載受理されている。 また、上記のモデルにダスト成分を追加したシミュレーションを行い結果をまとめている。近日中に国際学術誌に投稿予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定ではダストを顧慮した惑星移動シミュレーションを本年度中にまとめる予定であったが、ダストの数値拡散を抑制するためには当初の予定よりも高解像度のシミュレーションが必要なことが分かり、計算時間が当初の予定よりも多く必要になった。そのため、進捗状態を「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
ALMAによる高解像度撮像観測によってリング構造を持つ原始惑星系円盤が多数発見されている。ダストを考慮した惑星移動のシミュレーションによってこのようなリング構造は惑星がいつ、どこでできたかを示している可能性があることが分かった。 今後は観測されたリングの位置、頻度から可能な惑星形成シナリオを探っていく予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19のパンデミックによる影響で予定していた研究会・学会参加を変更せざるを得なかったため、予定額から残額が生じた。 残額は2021年度の物品購入(PCやハードディスクなど)に充てる。
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