2020 Fiscal Year Annual Research Report
On the atmospheric chemical processes of Titan revealed by the terahertz spectroscopic big-data produced with ALMA
Project/Area Number |
19K14782
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飯野 孝浩 東京大学, 情報基盤センター, 特任准教授 (40750493)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 電波天文学 / 大気化学 / リモートセンシング / テラヘルツ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,タイタンの大気化学をその組成及び同位体比の観測的解明から明らかにすることを目指している.2020年度はタイタンの成層圏・中間圏に存在する微量分子であるシアノアセチレン(HC3N)の3種の13C置換体の相対的存在量比をアルマ干渉計の較正観測ビッグデータより導出することに成功した.微弱な輝線スペクトルの強度の比較を容易にするため,同じ分光計に複数の遷移が含まれるデータを抽出し,計13のデータセットからの統計処理を行った.本成果は惑星科学専門の論文誌に投稿済みであり,本稿執筆時点で改訂中である. また,タイタン大気の観測データ解析を念頭に置き,オープンソースライブラリを組み合わせた分子量・気温構造最尤解導出コード「PASCAL」を開発,その開発内容および検証結果を査読付きプロシーディングスとして投稿,本稿執筆時点で条件付き採録となっている. また,海王星大気についても研究を継続しており,アルマによる世界初のシアン化水素(HCN)分子の空間分布の導出という成果を得た.得られた輝線強度マップからは,赤道上空で最大値を取り,南緯60度付近で最小値を取るという空間分布を得ることができた.これは過去に提唱されている海王星成層圏・対流圏の2セル循環モデルと調和的であり,対流圏から成層圏へと輸送された窒素(N2)分子が成層圏における光化学過程によりHCNを生成するという,HCNの内部起源説をサポートするものである. なお,本研究をさらに拡張した科研費・基盤Bが採択されたため,本課題は最終年度を待たずに発展的に終了することとなった.
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Research Products
(10 results)