2021 Fiscal Year Research-status Report
低質量星周りの系外惑星探査による短周期惑星の質量損失の解明
Project/Area Number |
19K14783
|
Research Institution | Center for Novel Science Initatives, National Institutes of Natural Sciences |
Principal Investigator |
平野 照幸 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究, アストロバイオロジーセンター, 助教 (10727449)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | M型矮星 / 太陽系外惑星 / トランジット / 半径ギャップ / 近赤外観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,系外惑星の分布にみられる「1.5-2.0地球半径の惑星の欠乏(半径ギャップ)」や「周期3日以内の中間サイズ(2-8地球半径)の惑星の欠乏」などの統計的性質の原因を解明するため,これまであまり系外惑星探査が進んでいなかったM型矮星に焦点を当て系外惑星の観測的研究を実施している。具体的には,(1) 近赤外線スペクトルを対象とした視線速度測定法の改良,(2) 低質量星まわりのトランジット惑星探査,の2つのテーマに取り組んだ。2021年度以前の研究で,研究(1)については概ね研究が完了していたが(開発した近赤外視線速度法とその解析パイプラインについてはHirano et al. 2020, PASJとして出版済み),2021年度は近赤外スペクトルが低S/N比であったり観測天体が比較的高速で自転している場合にも開発した視線速度測定法が適用できるように解析プログラムを拡張した。研究(2)については,過去3年間,2018年に打ち上げられたトランジット探査専用の宇宙望遠鏡TESSを用いたトランジット惑星候補のフォローアップ観測を集中的に実施しており,2021年度もTESS測光データの解析とすばる望遠鏡搭載のIRD分光器やその他1-4mの中小口径望遠鏡に搭載された装置を用いた観測により,合計10個を超えるM型矮星まわりの系外惑星の発見確認を実施した。特に,これまでにほとんど見つかっていなかったM型矮星まわりの長短周期惑星の発見及び質量測定を主導した(Hirano et al. 2021, AJとして出版済み)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究(1)や,研究(2)のうちTESSを用いたトランジット惑星探査については当初の想定通り惑星の発見を報告できているが,一方2014年頃から実施しているケプラー宇宙望遠鏡の第二次ミッション「K2」を利用したトランジット惑星探査については惑星候補は多数検出できているもののその発見確認のプロセスが若干遅れている。主に,惑星の発見確認のためこれまで取得した望遠鏡時間が悪天候等のため有効に利用できていないため,だと考えられ,これについては引き続きすばる望遠鏡等による観測を継続して惑星の発見確認を実施する。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度も引き続き衛星ミッション(TESS, K2)との連携によるトランジット惑星探査を継続する。特に,若干遅れているK2によるトランジット惑星候補のフォローアップ観測とその解析を加速させ,低質量星まわりのトランジット惑星の性質(特に半径ギャップ等)を詳細に調査する。
|
Causes of Carryover |
2021年度は,COVID-19により国際学会・国内学会への現地参加を控え,また国際・国内共同研究を推進するための研究者間の相互訪問もほとんど実施されなかった。そのため当初予定していた旅費の未使用分が発生した。また,当初望遠鏡使用料等で見込んでいた経費についても,当該望遠鏡の購入可能時間(夜数)が想定よりも少なかったため,これらの分の残額が発生した。 2021年度の未使用分については,2022年度に「研究集会への参加」,「望遠鏡観測時間の購入」に主にあてる計画である。
|