2020 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of origin of water on rocky planets using isotopic records in meteorites
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19K14790
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小池 みずほ 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 助教 (60836154)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 分化隕石 / 小惑星 / ウランー鉛年代測定 / 二次イオン質量分析計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、岩石惑星の表層環境を特徴づける水獲得プロセスの解明を目的に、微惑星・原始惑星を起源とする隕石群の放射年代測定と揮発性成分の同位体化学分析を実施する。これまで、2019年度に研究代表者が協力者の所属する英国オープン大学を訪問し、隕石試料の選定および岩石鉱物記載を行った。また、東京大学の研究チームにご協力いただき、幾つかの隕石試料中のリン酸塩鉱物について二次イオン質量分析計(NanoSIMS)を用いた局所ウランー鉛年代測定を実施した。2020年度は新型コロナウイルスの影響等で追加分析を実施することができなかったが、前年度までに蓄積したデータの再解析・解釈を進め、太陽系初期(約41.5億年以前)の小惑星の天体衝突史を明らかにした。本成果については研究代表者が筆頭責任著者として国際学術誌に報告した後、メディア等を通じて研究成果の発信を行い、広く関心を集めた。今後、年代を調べた隕石試料を中心に、揮発性元素同位体化学分析を実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、国内外の複数研究機関の研究チームにご助力いただき遂行してきた。しかし、今年度は新型コロナウイルス感染拡大に伴い海外渡航・国内移動が大幅に制限され、さらに協力いただいていた研究設備等が長期間閉鎖されたため、思うように実験を実施できない状況にあった。また、研究代表者本人も、今年度は所属機関変更に伴い環境が大きく変化したため、当初計画どおりに研究を進めるのが困難となっていた。今後の実験面の課題として、昨年計画していた軽元素安定同位体分析(酸素、水素、炭素、窒素など)と追加隕石試料の局所年代測定が残されている。 一方で、前年度までの研究結果をまとめて国際学術誌に筆頭論文を報告し、原始惑星の表層進化において重要な要因である太古の天体衝突史を解明することに成功した。さらに、本研究について所属機関およびメディア等を通じて広く情報発信を行ったところ、様々な報道関係者、分野内外の研究者、一般の方などの関心を多く集め、研究成果を社会へ還元し貢献する一助となった。 以上を踏まえて、現在までの進捗状況を「やや遅れている」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの課題として残されている、軽元素安定同位体分析および局所化学種分析を、年代測定を終えた隕石試料について実施する。また、追加隕石試料の観察および分析を行う。2020年度に引き続き、次年度も海外渡航・国内移動が制限される状況が続くことが見込まれるため、当初計画していたように研究代表者が国内外の研究機関を直接訪問して観察・分析・議論を進めることはできない可能性がある。一方で、リモートでの研究環境は十分に整いつつある。今後は、研究代表者が所属機関で進められる試料観察およびデータ解析を集中的に行いつつ、他機関の研究者とオンラインで議論し、必要に応じて試料を郵送しての依頼分析などの代替手段をとって研究を進める。
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Causes of Carryover |
2020年度中に予定していた実験に伴う国内外出張が全てキャンセルされ、さらに成果報告のための学会参加も全てオンライン形式となった為、旅費を使用しなかった。それに伴い、実験消耗品類も想定ほど使用しなかった為、物品費も計画より少なくなった。以上の理由から、次年度使用額が発生した。 2021年度も、国内外の他研究機関への訪問は困難な状況が続くことが見込まれるため、発生した「次年度使用額」を用いて、代表者の所属研究機関にて隕石試料加工・観察を進めるための設備・消耗品類を整備する。また、今後もオンライン会議システムを利用した研究打ち合わせ・遠隔実験・学会参加などが増えると予想されるため、必要な電子機器類・ライセンス等の購入費用にも充てる。さらに、2021年度中に本研究成果を国際学術誌に報告する計画であり、そのための英文校正料・論文掲載料等にも使用する。
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Research Products
(13 results)