2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of simulation model of plant population with high spatial resolution and low computational cost
Project/Area Number |
19K14803
|
Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
中河 嘉明 滋賀大学, データサイエンス教育研究センター, 助教 (80768614)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 植物個体群ダイナミクス / 競争 / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
現在の多くの全球植生動態モデルでは、植物集団の空間構造を考慮せず、すなわち葉群や植物の空間配置が水平に均質という仮定を置くことで、太陽光をめぐる植物間の競争を計算し、その結果として植物の成長や枯死、そして植物集団のダイナミクスをシミュレーションしている。しかし、このような仮定を置いたモデルでは、植物サイズ頻度分布などの植物集団内構造のダイナミクスを上手く再現できないという問題がある。一方、このような仮定を置かず植物集団の空間構造を考慮したモデル(空間明示個体ベースモデル)も開発されているが、シミュレートする植物個体数の増大に伴い大きな計算コストが必要になり、全球植生動態モデルが対象とする広域のシミュレーションには適さないという問題がある。そこで、本研究では植物集団の空間構造を考慮しながらも低計算コストな植物集団のシミュレーションモデルと、そのモデルに導入可能な葉群の三次元空間配置を考慮した光競争・成長モデルの開発を目的とした。2019年度には、この植物集団のシミュレーションモデルと光競争・成長モデルの開発を行った。これらのシミュレーションモデルでは、植物個体のサイズ分布や空間配置や樹冠(葉群)の空間分布を多次元分布として表現し、この多次元分布の時間変化をシミュレートする。このように個体をシミュレートするのではなく、様々な分布の時間変化をシミュレートすることによって、植物個体の空間配置や葉群の空間分布を考慮しながらも、植物個体数の増加に対して計算コストの増大を伴わないシミュレーションモデルを開発した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の計画では、2019年度には、以下の2項目を計画していた。(1)植物個体群モデルに空間モーメント近似を適用し、空間モーメント型の個体群モデル(以下では空間モーメントモデルと呼ぶ)の開発。(2)空間モーメントモデルに導入可能な葉群の三次元空間配置を考慮した光競争・成長モデルの開発。現在までに(1)については計画通りに完遂した。(2)についてもほとんどの開発が終了した。申請時のシミュレーションモデルの開発計画に変更箇所は特に無く順調である。また、2020年度以降に空間モーメントモデルの妥当性検証のために使用する空間明示個体ベースモデルとそれに導入する光競争・成長モデルの準備・改良もほぼ完了した。
|
Strategy for Future Research Activity |
2020年度は開発したシミュレーションモデルの妥当性を検証するために、2019年度に開発した空間モーメントモデルの出力結果を、空間明示個体ベースモデルの出力結果と比較する。これによって、開発した空間モーメントモデルと葉の三次元配置の近似スキームの妥当性を評価することができる。ここで比較する出力結果は、(a)植物サイズの頻度分布、(b)植物サイズクラス間の空間相関、(c)植物サイズこクラスごと受光量、(d)葉の三次元空間配置を予定する。
|
Causes of Carryover |
申請書は、ノートパソコンとデスクトップパソコンを購入する予定であったが、購入予定していたものと同等スペックのデスクトップパソコンの値上がりで予算が足りずデスクトップパソコンは購入できなかった。そのため、1年目の予算を2年目に繰り越して、2年目に配分される予算と合わせてデスクトップパソコンを購入することにした。そのため次年度使用額が生じた。
|