2023 Fiscal Year Annual Research Report
Soil water measurements with cosmic-ray showers for better correction of gravity data at active volcanoes
Project/Area Number |
19K14810
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西山 竜一 東京大学, 地震研究所, 助教 (10835101)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 宇宙線 / 電子・陽電子・ガンマ線 / 土壌水分 / 地下水 / 火山 / 重力 |
Outline of Annual Research Achievements |
火山地域で得られた重力の時系列データを調べると、降雨に追随した変動が見られることがある。これは、雨水の質量による万有引力の効果を重力計が受けるためであり、このような地下水擾乱の効果を補正することによって初めて、マグマの質量移動を正しく議論できる。本研究は、地下に宇宙線検出器を設置し、宇宙線に含まれる電磁成分(電子・陽電子・ガンマ線の総称)の吸収率を測定することで、土壌水分量を正確に理解することを試みた。具体的には、桜島の有村観測坑道(国土交通省)および鹿児島市街の横穴坑道(京都大学防災研究所)において実証観測を行った。その結果、大気圧変動や水蒸気圧変動などの大気擾乱による効果を回帰分析により取り除くと、電磁成分のイベント数が連続雨量に応じて減少することが確認された。この降雨に伴うイベント数の減少はモンテカルロ・シミュレーション結果とも整合することを確認した。ただし、実際に観測されたイベント数の減少は、当初予想していたよりも小さく、土壌水分量をリアルタイムで定量的に議論することは難しかった。しかし今後、検出器に改良(大面積化・ミュオンを併用した解析)を加えることで、上記の降雨起源の重力変動を効果的に補正できるだろう。 2023年度は、横穴坑道における観測の継続と撤収作業を行った。また、火山活動に伴う重力変化を議論するために、円錐型の地形中にマグマが流入した場合に生じる変形場・重力変化場を計算するモデルを作成した。 以上のように本プロジェクトは、火山活動にともなう重力変化のモデル化や、そうした重力変化をとらえるための降水起源ノイズ低減に向けた基礎的な研究成果をもたらした。
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Research Products
(3 results)