2022 Fiscal Year Annual Research Report
斜方輝石の動的再結晶に誘発される剪断集中プロセスの解明:高圧変形実験による検証
Project/Area Number |
19K14816
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
坪川 祐美子 九州大学, 理学研究院, 助教 (40824280)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 斜方輝石 / エンスタタイト / プレート / 沈み込み / 変形実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
海洋プレートの最主要鉱物であるドライなカンラン石の強度は非常に大きく(500-600 MPa:Kohlstedt et al.,1995; JGR)、プレートが変形し沈み込むための理論強度(<150 MPa:Richards et al.,2001; G3)を大幅に超過している。本研究ではプレートの第二成分であるエンスタタイトに着目しているが、斜方エンスタタイト(以下、Opx)は低温のスラブ内では準安定的に残留し、深さ200km付近で高圧型単斜エンスタタイト(以下、HP-Cen)へと相転移すると考えられる。本年度はOpxに加えHP-Cenの一軸圧縮変形実験を行うことで、沈み込むプレート強度に及ぼすエンスタタイトの役割について統一的に評価することを目指した。 出発物質のOpx多結晶体は、昇圧後の昇温過程においてHP-Cenへの相転移が完了することをその場観察した。HP-Cenの流動強度は温度の増加とともに低下したが、温度500-850 ℃の範囲で弱い温度依存性(~2-5 GPa程度)が認められた一方で、温度1000 ℃以上では顕著な応力低下(<1GPa)が見られた。このうち、低温側で見られた応力の温度依存性はパイエルス型クリープの特徴に似ており、その応力値は同条件下においてカンラン石の高圧相であるリングウッダイトがパイエルス型クリープで変形した際の応力値と近い値であった。一方、応力の温度依存性が変わる高温側では、HP-Cenの主要な変形メカニズムがパイエルス型クリープから転位クリープへと変化したと考えられるが、その応力値はリングウッダイトが転位クリープ変形した際のものと比べ小さい値であった。
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