2021 Fiscal Year Annual Research Report
空振観測によるマグマ噴火と水蒸気噴火の分類手法の新提案
Project/Area Number |
19K14819
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田 大志 京都大学, 防災研究所, 助教 (60804896)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 火山噴火 / 空気振動 |
Outline of Annual Research Achievements |
マグマ噴火と水蒸気噴火の熱力学的な性質の違いを、噴煙到達高度に関連する噴煙浮力の観点から評価を試みた。まず放出火山灰量(m)と空気振動エネルギー(Einf)について、桜島南岳2017年11月以降、口永良部島火山、霧島山新燃岳2011年のそれぞれの噴火活動からm/Einf=0.02-0.1という関係を見出した。 次に、噴出時間が噴煙上昇のタイムスケールに比べて短いサーマルに近似できる噴火に着目すると、噴煙の上昇開始時に保持する浮力Fは、噴出物温度を600-1000 K程度と仮定するとmとの間にF/m=15-35という関係が期待される。すなわち先のm/Einf関係に基づけば、F/Einf =0.3-3.5と換算される。この関係を、実際に報告されている噴煙到達高度と大気密度構造から噴煙上昇開始時の浮力を推定することで検証した。推定したF/m関係は1-100程度にばらつくが、期待される範囲と比べると大きな矛盾はなく、EinfとFの間には0.82という相関係数が得られる。桜島南岳のマグマ噴火の場合は、477例のF/Einfの平均値は20.6である。水蒸気噴火について口永良部島に加えてメラピ火山の2例を加えて検討すると、8例で0.1-55程度に分布し、その平均値は18.9となる。 噴出物が多量の水分を含んでいる場合には、上昇中に水分が蒸発し潜熱としての浮力が噴煙浮力に加わることが期待される。よって、より噴煙到達高度が高くなる可能性がある。実際にメラピの水蒸気噴火は桜島南岳を中心とするマグマ噴火と比べるとF/Einfが大きい(37-55)。しかし、口永良部島の場合はマグマ噴火とF/Einf関係が明瞭に異なるとは言い難い。ここで対象としている火山はほとんどが海に囲まれた環境に立地しており、噴出物中のみでなく大気中の水分量についても考慮する必要がある。
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