2023 Fiscal Year Annual Research Report
微小重力下での高速衝突におけるクレーター形成過程の解明
Project/Area Number |
19K14824
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡本 尚也 千葉工業大学, 惑星探査研究センター, 研究員 (80756130)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 衝突実験 / 低重力 / クレーター / 小天体 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで簡易な落下装置を構築し, 低重力下でのクレーター直径の観察を行ってきた.本年度はこれに加え,クレーター深さやクレーター形状に対して重力がどのような影響を及ぼすかを調べるため, 断面的な観察が可能な計測システムの開発を行った. 標的容器内部をアクリル板で鉛直方向に仕切り,片方の空間に標的物質を充填し,もう片方の空間にデジタルカメラおよび光源を設置した.弾丸をアクリル板近傍に衝突させることで,標的粒子層をアクリル板越しに水平方向から撮影でき,クレーター成長過程の断面的な観察を行うことが可能となった. 珪砂標的に対し 0.04 G でのクレーター形成過程の観察を行ったところ, クレ ーターキャビティの断面は判別できるが,1 G の結果と比較するとその形状は不鮮明であった.また,標的の落下とともに標的表層が容器に対して鉛直上向きに浮き上がっていく現象が観察された.この標的表層の浮き上がりが標的の密度および空隙率を不均一に変化させ,そこに弾丸が衝突したため不鮮明なクレーター形状となったと考えられる. 低重力下で標的表層の乱れの少ない状態で改めて衝突実験を行うための改善策を講じてゆく.
研究機関全体を通じて, JAXAの大学共同利用装置である超高速衝突実験施設にある縦型飛翔体加速器に設置可能であり地球重力の0.04-0.07倍の重力条件を模擬可能な実験装置を開発した.本装置を用いて、様々な粒状物質に対して低重力下での超高速度衝突実験を行った結果,粒径が大きな標的試料ではクレーター直径の形成において重力の影響が支配的であるのに対し,粒径が小さい標的試料では固着力の影響が支配的となることが明らかとなった.重力と固着力の影響が逆転する領域を実験的に観察し,その境界条件を定量的に決定した.以上の結果は2023年 7 月 米科学雑誌 「Icarus」に掲載された.
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