2022 Fiscal Year Research-status Report
Synthetic experiments and genomic analysis for understanding a possible scenario of the birth of life in chimney structure
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19K14830
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
奥村 知世 高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 准教授 (90750000)
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Project Period (FY) |
2020-02-01 – 2024-03-31
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Keywords | チムニー / 生命の起源 / 蛇紋岩化作用 / アルカリ湧水 / ブルーサイト / カルサイト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、初期生命誕生・進化の場のアナログサイトである蛇紋岩化作用に関連した海底アルカリ湧水で発達するチムニー内で生じる物理化学・生化学プロセスの実態を明らかにすることで、チムニー内における生命誕生のシナリオを提案することを目的とする。 令和4年度は、主にインジェクション法によるチムニー組織形成実験の実験系の改良及び、さまざまな条件を変えて天然試料を再現する実験を進めた。また、前年度に引き続き、研究対象である深海チムニー構造の微細組織について、X線CTを用いた3次元の構造解析を行った。解析画像を画像処理ソフトウェアにて処理し、組織的特性を定量的に記載することを進めた。また、主な研究対象とする、しんかい湧水域の微生物群集組成の違いを考慮し、ホルマリン固定したチムニー試料について、DNAをターゲットとした蛍光色素で染色をした切片の観察を行い、チムニー組織と微生物の分布の関係性を広く調べた。 共同研究で進めていたチムニーの鉱物化学・電気化学的特性の記載について取りまとめた内容と、チムニータイプや部位による微生物群集構造について取りまとめた内容を学会発表し、論文化に向けた有意義な議論をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度は主に、チムニー形成実験において、インジェクション法での組織形成実験の試行を進め、2次元及び3次元でのチムニーの構造の詳細の解析を進めた。特に、天然試料で認められるサイズの異なる流路構造の再現のためインジェクション部の材質、直径、流速を細かく変えて、天然試料の再現を試みた。天然試料のチムニーの構造解析では、物理的解析を行うためのパラメータをCT画像及び薄片観察画像から抽出を試みた。蛍光色素を用いたムニー組織と微生物の分布の観察では、試料によって、非特異的染色が顕著に見られるものもあり、染色方法や観察方法を検証であることが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、チムニー形成実験を進め、形成物の形状や組成、物性に関するデータを取得し、南部マリアナ及び北大西洋のその他のアナログサイトのチムニー試料と比較する。一方、令和4年度には、令和5年度に主な研究対象であるしんかい湧水域の再訪ができる調査航海が米国で企画立案されているとの情報が入った。報告時には、調査日程は調整中とのことであるが、チムニー組織に応じたゲノム解析は、フレッシュな試料で行うことが望ましい。そのため、研究実施期間を延長し、新たに採集するフレッシュな試料と過去に採集した試料を広く解析する方針へと変更を行った。
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Causes of Carryover |
令和4年度には、令和5年度に主な研究対象であるしんかい湧水域の再訪ができる調査航海が米国で企画立案されているとの情報が入った。報告時には、調査日程は調整中であるが、チムニー組織に応じたゲノム解析は、フレッシュな試料で行うことが望ましい。そのため、研究実施期間を延長し、経費の一部を繰越し、新たな試料採集と解析を行う計画とした。
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Research Products
(2 results)