2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of fatigue damage evaluation in the early stage using X-ray diffraction
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19K14848
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
熊谷 正芳 東京都市大学, 工学部, 准教授 (20582498)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 低サイクル疲労 / X線回折 |
Outline of Annual Research Achievements |
金属材料の疲労現象の理解や評価、予測などの知見は学術的のみならず実用上も重要である。従来は疲労損傷評価法は主にき裂の検知によって行われてきたが、き裂発生前の早期損傷評価が非破壊で可能となれば、経済的にも安全性の面からも意義が大きい。そのため本課題ではき裂発生前段階での疲労損傷評価法の開発を目指している。疲労現象は転位の蓄積など材料の微視組織の状態と密接な関係があり、その評価方法として有力なX線回折強度曲線(ラインプロファイル)の逆解析法である“ラインプロファイル解析法”を用いる。同法では非破壊・非接触で転位密度などの微視組織を定量的に評価することが可能であり、疲労損傷の評価法として期待が大きい。本課題では評価法構築に向けた基礎研究として、ラインプロファイル解析により得られる物理量と疲労現象との関係を明らかとし、将来的な現場レベルでの疲労損傷評価方法の構築へと展開することを目指している。 初年度である2019年度は予定していた試験片、疲労試験のためのジグの作製および疲労試験の準備を進めた。試験片やジグの作製は完了し、疲労試験の予備的検証を行い、おおよそ疲労試験が実施できることを確認したが、詳細な疲労条件の調整などに課題が残っている。 また、初年度に先行して大強度設計陽子加速器施設(J-PARC)の物質・生命科学実験施(MLF)においてパルス中性子源を用いた、繰り返し負荷中のその場中性子回折測定を行いその解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定していた試験片・ジグの準備や疲労試験の準備はおおよそ達成できたものの、10月に上陸した台風19号による大学キャンパスの受けた水害により、キャンパス内での研究活動が大幅に制約を受けるなどにより、予定と比べやや遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に準備をした試験片・ジグや疲労試験環境を用いた疲労試験を行うとともに、繰返し負荷した試験片のX線回折測定を実施、測定データの解析(ラインプロファイル解析)を進める。併せてX線ラインプロファイル解析結果との比較のための透過電子顕微鏡(TEM)観察を行う予定である。 また、パルス中性子源を用いて測定をしたデータの解析を引き続き進める。
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Causes of Carryover |
備品の購入を検討したが、残額から研究遂行に必要な十分な仕様の製品の選定が難しかったこと、研究の進捗にやや遅れが生じたことで備品が実際に必要となる時期が次年度へずれ込んだことを勘案し、次年度に次年度予算と合算することで十分な仕様を有する製品を購入した方が、研究を遂行する上で利点があると判断したため。
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