2019 Fiscal Year Research-status Report
4次元ピンポイント渦電流法によるCFRTPの剥離修復とその溶融メカニズムの解明
Project/Area Number |
19K14850
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Research Institution | Suzuka National College of Technology |
Principal Investigator |
板谷 年也 鈴鹿工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (00650425)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | CFRTP / 4次元ピンポイント渦電流法 / 任意形状コイル / 剥離修復 / 溶融メカニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
CFRTP(熱可塑性炭素繊維強化プラスチック)は運用中において、外部から衝撃を受けた場合、積層間で樹脂および繊維界面の剥離が生じ、それにより力学的強度が低下することが知られている。CFRP成形品として、自動車車体や航空機に利用されており、2次元でなく実用的に3次元のCFRTPの剥離修復の技術開発が期待されている。本研究では、3次元形状のCFRTPに対してコイルの形状や大ききを合わせた上で、コイルの励磁周波数および励磁時間を変化させ、縦・横・深さ・時間の4次元の渦電流をCFRTPに作用させ、ピンポイントかつ複雑形状のCFRTPまで溶融可能とする。本渦電流法を用いてCFRTPの剥離を修復し、実用面で十分な強度を得ることができることを定量的に示す。電動式射出成形機を用いて、ハット型CFRTPと呼ばれる3次元形状のCFRTPをハイブリッド成形した。はじめに、ハット型CFRTPに対して提案する方形コイルを用いた4次元ピンポイント渦電流法を適用し、誘導加熱時間を30、60、90、120、150秒と変化させ、CFRTP表面をディジタルマイクロスコープで観察を行なった。加熱時間の経過と伴に溶融面積は大きくなった。150秒で 342℃に達し、CFRTPの融点以上の加熱を確認した。次に、落球衝撃試験機を用いて、ハット型CFRTPに層間剥離を発生させた。鉄球の重さは500gで、高さ75cm、100cmとした。落球衝撃試験を行ったCFRTPを誘導加熱によって、CFRTPの融点以上に加熱し、ニュートンプレスによって2MPa、4MPa、8MPaで加圧し融着した。そして、ハット型CFRTPをCRRP用ジグソーで短冊状に切断しJIS K 7164に準じて引張試験を行なった。その結果、融着時の加圧力2 MPa、4 MPaにおいて、融着により引張り強さが大きくなること示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4次元ピンポイント渦電流法を用いて、狙いを定めた箇所のCFRTPの溶融を確認した。離修復について、落球衝撃試験後に融着のみで完全に引張り強さを回復させることは難しいため、ハイブリッド成形用樹脂と連続繊維熱可塑材料の製品データシート値および落球衝撃試験を行っていないCFRTP試験片の引張強さから融着による引張り強さの回復を検討した。落球衝撃試験を行っていないCFRTP試験片と融着なしの場合の試験片を比較すると、落球衝撃により引張り強さが50 %以下まで低下した。これはCFRTPの層間剥離およびペレット部のクラックが原因と考えられる。融着ありの場合は、高さ75cmの落球衝撃試験で融着時の加圧力4 MPa、8 MPaにおいて70から80 %まで引張強さが回復した。また、高さ100cmの落球衝撃試験で融着時の加圧力4MPa、8 MPaにおいても60〜70 %まで引張り強さが回復した。この融着条件化でCFRTPの剥離修復できたと考える。しかしながら、高さ100 cmの落球衝撃試験の場合の融着時の加圧力2 MPaにおいて、引張り強さが小さくなった。この理由は、加熱溶融から融着作業までの時間や短冊状への加工時の寸法の影響などが考えられる。以上より、本手法による融着条件で一定の割合でCFRTPの引張り強さの回復を確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
誘導加熱によるCFRTPの熱の影響や溶融から融着までの時間の影響など未解明であるといえる。今後の予定として、示差走査熱量計測定によるCFRTPの熱分析実験を行い、さらに吸熱および発熱反応を調査する。この結果より、再度、CFRTPの誘導加熱実験、融着実験と引張試験による強度評価を行う予定である
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