2020 Fiscal Year Research-status Report
Mechanism of hydrogen-induced creep in precipitation-hardened Ni-based superalloys
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19K14855
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Research Institution | Kobe Material Testing Laboratory, Co., Ltd |
Principal Investigator |
岡崎 三郎 株式会社神戸工業試験場(生産本部技術開発部), 技術企画室, 研究員 (70780831)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Ni基合金 / 析出強化 / 水素脆化 / 水素拡散 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,析出強化型Ni基超合金の水素誘起早期破壊のメカニズムを解明することである. 2年目の取り組みとしては,対象とする材料をインコネル718の析出強化材のみに絞り,水素の拡散と破壊挙動の関係性について検討した.試験片を圧力100MPa,温度270℃の水素ガスに200時間曝露し,23℃(室温),-40℃,-80℃,-196℃(液体窒素中)の温度の下で引張試験を実施した.昇温脱離法による分析の結果,前述の曝露条件では96 ppmの水素がチャージされていることを確認した.引張試験の速度は,0.0025mm/secと0.25mm/secの2通りとした.室温の条件下では,最も顕著な延性低下が認められた.引張速度が速い条件(室温,0.25mm/sec)下では,水素が熱的抵抗としてプラスされたことにより,水素チャージ材のみ降伏応力が増加する挙動を確認できたが,ひずみ速度の違いによる延性の回復は軽微であった.全試験を通して,試験温度が下がるにつれて,破断強度が増加し,延性が回復する傾向が認められた.-80℃で実施した実験では,2通りのひずみ速度においてほぼ同等の破断伸びおよび強度が得られた.液体窒素中で実施した引張試験では,水素の影響による延性低下は見られなかったことから,水素が拡散できない極端な条件では水素誘起の早期破壊は起こらないことが明らかになった.これらの実験結果より,析出強化型Ni基超合金の水素誘起早期破壊のメカニズムには短範囲の水素拡散が重要な条件として関与していることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画の2年目は,材料中の水素拡散と破壊挙動の関係に注目し,種々の温度条件下で水素チャージ材の引張試験を実施した.一連の実験結果を水素の拡散係数より単位時間当たりの水素のジャンプ頻度を計算して整理したところ,短範囲の水素拡散が析出強化型Ni基超合金の水素誘起早期破壊のメカニズムに対する重要な影響因子であることが示唆された. 以上のように,水素チャージを施したNi基超合金の破壊のメカニズムは明らかになりつつあるが,学会発表・論文発表など成果のアウトプットが遅れていることから,「やや遅れている」の評価とする.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究計画の最終年度では,短範囲の水素拡散が破壊のクライテリアとして成り立つか見極めるため,単位時間当たりの水素のジャンプ頻度が十分に小さくなる温度条件下で追加の引張試験を実施する.また,破壊のプロセスを明らかにするため,SEMによる破面観察や断面の残留き裂の観察を行う.
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