2019 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of mechanism of nonuniform plastic deformation by using oligocrystalline metal sheets
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19K14856
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
上島 伸文 東北大学, 工学研究科, 助教 (10733131)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 有限要素多結晶モデル / 塑性変形 |
Outline of Annual Research Achievements |
R1年度の実施計画の通り、粒径/試料寸法比やAl添加が変形に及ぼす影響をDIC解析とEBSD解析によって調べた。その結果、予想されていた通り、粒径/試料寸法比が大きいほど変形が局所的に集中し、Al添加量が多くSFEが小さいほど二次すべり系の活動が抑制されることが確認された。また、活動すべり系を調べた結果、ほとんどの粒では最もシュミット因子の大きなすべり系が活動していた。ここまでは、これまでの研究から容易に予測できることであるが、今後本研究で同時に取得しているひずみ分布の時間発展を再現可能なモデルを構築することで、微視的変形挙動と巨視的な変形挙動の関係解明につながると考えられる。 有限要素多結晶モデルを用いた解析では、まずは単純な硬化則を用いて変形初期の応力ひずみ曲線と、DIC解析により得られたひずみ分布を再現可能とした。今後、高ひずみ域の再現を可能とするために、既存のより表現力のある複雑なモデルや独自の新規モデルの活用を検討する予定である。これによって、各モデルの微視的視点からの妥当性の検討を進めれば、材料自身の変形メカニズムに基づいた物理的に意味のある変形予測モデルの構築が可能となる。これによって、未だ発展途上である材料の巨視的変形と微視的組織の関係、また多結晶体と単結晶体の境界領域の理解が深めることができれば、今まで単なるフィッティングパラメータとして用いられることの多かった「材料定数」の意味が明確となり、材料のミクロな性質からマクロな変形を予測可能とすることに大きく寄与すると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
溶解鋳造条件とその後の冷却条件を調整することで、種々の粒径をもつCu-xAl(x=0, 2, 4, 6 wt.%)合金を鋳造した。得られたインゴットを引張試験片形状に加工後、EBSD測定により結晶方位分布を得た。その後、試験片にランダムパターンを塗布し、表面をCCDカメラで観察しながら引張試験を行った。得られた動画からVIC-2DおよびVIC-3Dを用いたDIC解析によって、ひずみ分布を測定した。結晶方位分布とひずみ分布の測定結果から、ひずみの局所的な集中と結晶方位の関係を調べた。その結果、研究実績に記載した通り、おおよそ目標としていた成果が得られた。実験についてはおおよそ計画通り進捗していると自己評価する。 有限要素多結晶モデルを用いた解析については、まずは単純なn乗硬化則かつ等方弾性体を仮定した解析を行い、変形のごく初期のひずみ分布と応力ひずみ関係を再現することに成功した。しかしながら、この単純なモデルでは巨視的なひずみ量で約5%程度の範囲までしか再現することができていない。このことから、当初の目標であった結晶の回転や粒ごとの不均一変形挙動の計算と実験の比較による詳細な検討まで至っていない。これは、当初導入を予定していた三次元DIC解析システムの解像度が十分ではないことが判明し、その代替手段の確保に時間とリソースを取られた為である。 以上のことから、当初の予定よりやや遅れていると自己評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の通り、有限要素多結晶モデルによる解析を進めていく予定である。
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Research Products
(1 results)