2021 Fiscal Year Annual Research Report
放電プラズマ焼結体を工具電極に用いた医療用チタン合金の放電加工
Project/Area Number |
19K14864
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Research Institution | Nagaoka National College of Technology |
Principal Investigator |
金子 健正 長岡工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (60708618)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 放電プラズマ焼結 / 放電コーティング / 窒化チタン / TiN / チタン合金 / Ti6Al4V |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は,放電加工表面の成分分析と,放電加工とTiNコーティングの同時処理の可能性について検討した. TiNを工具電極に用いてチタン合金に対して放電加工を行い,放電加工表面を形成した.さらに,EDXとXRDを用いて加工表面の成分分析を行った.その結果,放電加工油中で加工を行った場合,TiNに加えてTiCが形成されることが分かった.また,大気中で加工を行った場合,TiNのほかTiO2が形成された.EDXによる加工表面断面の元素マッピングの結果,放電加工油中で加工を行った場合に形成されたTiCは,放電加工面の溶融再凝固層全体に存在していると推測される.一方で,大気中で加工を行った場合に形成されたTiO2は,数μmの最表面のみに形成されていると推測される.また,いずれの加工液においてもTiNが形成されている溶融再凝固層の厚さは30μm程度であった. これまでに,TiN焼結体にTiB2を添加した工具電極を用いたチタン合金の放電加工において,銅電極と同程度の加工速度と工具電極消耗率を示し,成形加工が可能であることが分かっている.また,大気中におけるTiN工具電極を用いたチタン合金への放電コーティングによって純度の高いTiNが形成されることを明らかにしている.これらの結果から,工具電極に材料と加工雰囲気の組み合わせによって医療用チタン合金の放電加工における成形加工とTiNコーティングの同時処理ができることを明らかにした.チタン合金の成形加工とTiNコーティングの同時加工は,微小凹凸による骨適合性とTiNによる無毒で高い細胞親和性を両立する全く新しい技術である.工学と医学の両分野におけるチタン合金の高付加価値加工法が確立されたといえる.
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