2020 Fiscal Year Research-status Report

プラズマ援用指向性エネルギー堆積(DED)型レーザー積層造形技術に関する研究

Research Project

Project/Area Number	19K14866
Research Institution	National Institute of Advanced Industrial Science and Technology
Principal Investigator	板垣宏知国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究員 (00793184)
Project Period (FY)	2019-04-01 – 2022-03-31
Keywords	プラズマ / 積層造形 / 超硬金属
Outline of Annual Research Achievements	本研究では従来のレーザーを熱源とした積層造形プロセスをプラズマ環境中で実施することで、プラズマ環境下で形成された金属造形物の元素組成や結晶構造に与える影響を調査し、プラズマ生成条件と造形物物性の関係を明らかにすることを目的としている。令和３年度は、プラズマ援用積層造形技術の実現を目標に、R２年度に開発したプラズマ電極（造形ノズル）の改良、粉体供給手法の最適化に取り組んだ。 R２年度において開発したノズルでは、プラズマ電極におけるプラズマ射出口と粉体ビーム焦点との距離が長く、プラズマによる熱が十分に粉体に供給されていないことが明らかとなったため、プラズマ柱に対し垂直に粉体を投入可能にするノズルと螺旋気流にのせて粉体をプラズマ出射口に供給可能にするノズルの２種類の粉体供給ノズルを開発し、まずはプラズマ加熱のみで積層造形試験を実施した。積層サンプルとして、超硬材料として知られるWC-Coの造粒粉末を使用した。その理由は、レーザー積層造形のみでは造粒粉体に存在する空隙を起因として造形物中にポロシティが多く発生してしまうため、高融点でありプラズマによる粉体加熱の効果を観察しやすくするためである。上記試験の結果、幅2mm、高さ13mm(８層)の超硬積層造形に成功した。また造形物断面の光学観察の結果、内部のポロシティの低減を確認し、ビッカース硬度においては造形物表層において従来品同等の硬度（1600-1800)が得られていることがわかった。この結果は、開発したプラズマノズルが金属粉末を十分に加熱可能であることを示しており、レーザーと併用することで、本研究の目的であるプラズマ雰囲気での積層造形が金属造形物物性に与える影響の解明が可能となる。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 3: Progress in research has been slightly delayed. Reason 利用予定であった加工用レーザー不調のため、レーザー積層造形試験の実施が遅れている。対策として、他の既存レーザー装置を利用した積層造形試験の準備をすすめている。一方で、プラズマノズルおよび造形ステージの開発は完了しており、別途に用意した加工用レーザーを用いた積層造形治具の準備が整い次第、プラズマを併用したレーザー積層造形試験の実施が可能となる。また、試験を実施するための密閉容器の改良を実施したが、コロナウィルス感染拡大による緊急事態宣言等で業者の対応が遅延したことも、研究遅延の理由である。そのため、上記を理由に区分（３）とした。
Strategy for Future Research Activity	利用予定であった加工用レーザーが不調のため、現在、他の加工用レーザーの利用を検討している。レーザーの別途用意ができた際に向けて、プラズマ援用レーザー積層造形試験の準備をすすめており、加工用レーザー設置機構の準備が整い次第、プラズマ援用レーザー積層造形試験を実施する。プラズマ援用レーザー積層造形試験においては当初目標であったチタン合金の窒素プラズマ雰囲気下での造形を実施し、雰囲気中のプラズマ種同定をすすめるとともに、チタン合金窒化層の厚みや組織との関係を明らかにする。一方で、プラズマノズルのみにおいても造形試験は可能であるため、チタン合金および今年度実施した超硬金属の積層造形試験を実施し、プラズマ熱源のみでの造形雰囲気が積層造形物の金属物性や組織に与える影響を調査すると共に、レーザー積層造形との造形物物性を比較することで、雰囲気に存在する活性種や冷却速度の違いが造形物物性に与える影響を調査することで、プラズマを積層造形に併用した際の積層造形プロセスに与える効果に関して考察を実施する。
Causes of Carryover	参加予定であった学会発表がコロナウィルスの影響により中止になったため。またレーザー積層造形試験が実施できておらずガスや基板等の消耗品が減少したため。現在、プラズマ援用レーザー積層造形試験のため、別途用意した加工用レーザー機構の準備をすすめており、その治具製作費に使用予定である。また、国内会議参加費および論文投稿における投稿費・校閲費に使用予定である。