2021 Fiscal Year Research-status Report
プラズマ援用指向性エネルギー堆積(DED)型レーザー積層造形技術に関する研究
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19K14866
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
板垣 宏知 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究員 (00793184)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | プラズマ / 積層造形 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、プラズマ中における積層造形物の造形機構、特に、プラズマ下で造形された造形物の元素組成や結晶構造にプラズマ中に発生する粒子が与える影響を調査し、プラズマ生成条件と造形物物性の関係を明らかにすることを目的としている。令和3年度はレーザーが故障したため、令和2年度までに開発したプラズマノズルを用いたプラズマのみを熱源としたチタン窒化物の積層造形試験を実施、造形物の電子顕微鏡観察や元素組成分析で各条件の造形物物性を比較することで、チタン系合金に対する最適な積層造形条件の探索を行い、その結果、 窒素濃度が増加した厚み5mmの積層組織を得ることに成功した。一方で積層組織内には冷却時の熱収縮によるものと考えられる亀裂上欠陥が見られている。これはレーザーとプラズマを熱源とした際にも起こり得る欠陥であり、プラズマのみの場合において欠陥を低減するプロセス条件を見出すこと、および得られた積層組織の硬度等の機械的特性の理解が今後の課題である。 加えて、R2年度から取り組んでいる超硬材料の積層造形機構の調査を引き続き実施した。R3年度はレーザーで積層造形された超硬造形物とプラズマで積層造形された超硬造形物の内部組織のモルフォロジを比較し、プラズマを熱源にした場合に有意に内部のポロシティが低減していることを明らかにし、超硬合金の積層造形においてプラズマを熱源として用いることの優位性を示すことに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度、加工用レーザーが故障したため、プラズマを熱源とした積層造形試験の実施を中心に実施している。 プラズマを熱源とした場合でもプラズマ中に窒素原子およびラジカルが発生することが分光計測により確認されており、プラズマ中で積層造形を行うといった目的の研究は遂行可能である。R3年度はプラズマを熱源とした積層造形プロセスを確立し、亀裂上欠陥の発生といった課題は存在するものの窒素濃度が増加した厚み5mm以上の積層組織の形成に成功した。また異なる積層造形条件での分光計測で、窒素を起因とするスペクトル分布の優位な変化も観測され、分光による条件比較を可能とし、窒素プラズマ雰囲気下でのチタン系合金の積層造形試験が実施できている。 よっておおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
利用予定のレーザーが故障したため、プラズマを熱源とした積層造形試験を中心に実施している。プラズマのみを熱源とした場合でもプラズマ中に窒素原子およびラジカルが発生することが分光計測により確認されているため、本研究の目的であるプラズマ雰囲気下での積層造形試験および窒化物層形成試験の遂行は可能である。昨年度までに窒化物による積層組織の形成および、各積層条件における窒素原子/分子の発光の違いが捉えられている。今年度は、それら窒素系分子の発光と積層組織の関係を調査、また積層組織の元素組成と機械的特性(硬度)の関係性を明らかにすることで、プラズマ雰囲気下での積層造形機構を明らかにする。
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Causes of Carryover |
利用予定であった基板やガスの消費がコロナウィルス蔓延による出勤率制限で抑えられたため。 今年度は機械特性を評価するために必要な研削用消耗品やガス、真空部品(ガスケットなど)に利用予定である。 また国内会議への参加を検討している。
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