2020 Fiscal Year Research-status Report
Realization of Low Frition for Mecanical Seal Used in Blood by Control of Protein Film Formation
Project/Area Number |
19K14873
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
神田 航希 東北大学, 工学研究科, 助教 (60803731)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 低摩擦発現タンパク膜形成 / 炭化ケイ素 |
Outline of Annual Research Achievements |
補助人工心臓のしゅう動部における材料設計においてはタンパク質溶液中での低摩擦の持続的発現と生体適合性が求められる.摩擦により界面に形成される血漿タンパク質由来の膜が低摩擦を発現しうる事が既に明らかにされており,形成機構の解明及び材料の選択・設計指針が求められている.そこで過度な圧力によるタンパク質の変性を抑制するために摩擦材料の片側に軟質・含水材料であるダブルネットワーク(Double network: DN)ゲルを用いた摩擦試験系において各種血漿タンパク質溶液中の摩擦試験を行い,DNゲルの相手材に各種材料を用いる事で低摩擦発現血漿タンパク膜の形成に及ぼす材料依存性を解明した. ディスク材料としてDLCコーティングやAl2O3を用いた際,溶液中における血漿タンパク質の含有による摩擦低減効果は顕著では無いが,Si3N4やSiCを用いた際には溶液中における血漿タンパク質の含有により顕著な摩擦の低減を示す.平均摩擦係数はぞれぞれ0.03,0.01を示す.特にSi3N4, SiCを用いた際の混合血漿タンパク質溶液中における摩擦係数はおよそ1/20に低下する.これよりSiを含有するセラミックスがタンパク質溶液中における低摩擦発現のポテンシャルを有するといえる. また低摩擦発現時にディスク表面に形成される血漿タンパク膜中に含まれる各元素の支配的構造をX線電子分光法(XPS)により解析した結果,SiC上の形成される膜のみに特異的な炭素構造が含まれるていることが明らかにされた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症の影響で活動時間が制約されたため,実験・観察・解析において想定よりも遅れが生じている.
|
Strategy for Future Research Activity |
ディスク材料としてSiCを用いた際にのみ特異的な炭素構造が血漿タンパク膜に含まれることがXPS解析により明らかにされた.今後は特異的炭素構造の形成におよぼす種々のパラメータの影響を調査し,形成機構の解明を行う.
|
Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の影響により複数の学会が中止され,旅費が減少したため.
|