2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of welding technology for PI films with complicated shape and applying to pneumatic motor
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19K14874
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
山口 大介 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (00735657)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 溶着 / アクチュエータ / ポリイミド / 熱間圧空成型 / モータ / 極限環境 / 空圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,極限環境下で駆動を行う空圧ステッピングモータの開発を最終目標とし,異分野の研究とされる材料の加工技術の確立から機械要素(アクチュエータ)技術の設計・製作・評価までを一貫して取り組む.本年度は,新たな前処理・添加剤レス溶着の開発と,本溶着手法を用いてモータの駆動源となるポリイミド(PI)製気室の実現を行った. あらかじめ立体成型を行ったPIフィルムに対して,溶着部の平行度・表面粗さに大きく依存しない前処理・添加剤レス溶着の開発を行った.溶着面全体にかかる圧力を均等とすることで押付圧力による溶着の不均一さを減少させるために,本研究では,低弾性係数を有する耐熱材料を基準面と固定金型の間に敷き,その変形を利用することで金型同士の平行度を補正し,また溶着対象であるPIフィルムと金型の間にグリスを塗布することで金型の表面粗さの影響を緩和した.これにより,立体成型を行ったフィルムに対しても安定した溶着を実現した. また,これまで空圧シリンダによる予圧印加機構を採用していたが,がたつきの影響による成型フィルム同士の溶着しろのズレ,平行度における課題が存在していた.そこで金型同士をボルト締結により固定し,締め付けトルクを工夫することで予圧を均等に金型へ印加する設計手法について確立した.これにより,精密に位置決めを行った金型同士での溶着ができ,溶着代のズレを抑えた.また金型自体にヒータを接続できるようになった事から,加熱・冷却に必要となる時間を大幅に削減した. 試作した空気室の特性評価を行い,モータを駆動するのに十分な性能を有していることを確認した.また試験的に空圧モータへ取り付けることでモータの駆動を確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに,当初計画と比較してPIフィルム製空気室の製作が早く進んでおり,計画よりも早くモータへの適用ステージへ入っている.一方で,当初計画をしていたラピッドヒータを用いた溶着機の製作は中断することとした. 当初計画ではラピッドヒータを使用することで,ごく短時間の加熱を実現する予定であったが,金型の熱容量に関する課題からラピッドヒータによる加熱では目的となる温度等を実現できないことが研究過程において判明した.そこで,金型同士をボルト締結により固定し,締め付けトルクを工夫することで予圧を均等に金型へ印加する設計手法について開発し,金型以外の容積を小さくすると共に,直接ヒータを金型内へ挿入する方式へと変更することで短時間での加熱を実現した.一方で従来の送り機構による予圧印加と比較してPIフィルムへの加熱時間が増えていることから,今後,気室に対する影響を考慮する必要がある. 以上から,全体としておおむね当初予定通りの進捗と言える.
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Strategy for Future Research Activity |
ラピッドヒータを用いた溶着機の開発を中断し,新たに試作を行った金型同士のボルト締結を利用した溶着方式について,特性の把握が不十分である事から,今後,特性の評価等を進める. また空圧ステッピングモータについて,試作した気室を駆動源として駆動特性の評価を行うと共に,軸受け部のがたつきによる影響など構造の改善を行うことで,使用環境を選ばない空圧モータを開発し,極限環境における評価を行う.
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Causes of Carryover |
ラピッドヒータを固定する治具,制御機器等を製作するための予算であったが,新しい溶着方式への変更に伴い,溶着装置の設計が一部遅れているため,次年度使用額と合わせて使用する事としている.
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