2021 Fiscal Year Annual Research Report
Turbulence multi-scale interaction based on global stability of unsteady / nonequillibrium flow
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19K14880
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
焼野 藍子 東北大学, 流体科学研究所, 助教 (30634331)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 乱流 / 流体制御 / 遷移 / 非モード安定性 / エネルギー過渡増幅 / 境界層 |
Outline of Annual Research Achievements |
流体工学の課題の中で,乱流場のマルチスケールな秩序構造の生成や散逸の相互機構は,未解明な点が多く残されている.申請者のこれまでの研究で,時空間的に大スケール変動に重畳する小スケールの渦の特徴的な振る舞いが観察されるが,どのような理論で説明されるか詳細はわかっていない.そこで本研究では,マルチスケール変動の非線形効果を考慮した,非定常/非一様流れの大域的安定性解析を実施,乱流の秩序構造の生成機構とそれらの相互作用の理論的解明を目指す.申請者は特に非直交モードによるエネルギー過渡増幅に焦点をあて,実際の渦生成との関連を調査する.申請者はこれまでに,非線形効果としてレイノルズ応力の渦粘性近似を取り入れた解析を実施,チャネル流では壁近傍の小さな粘性スケール構造だけでなく大規模構造の生成も過渡増幅が重要な役割を果たしている可能性を示した. 当該年度は,これまで構築した安定性解析プログラムを適用,実際の流れ場との比較を行った.スパン方向壁振動制御では,斜めのストリークモードは制御により強化され,直接数値計算での様子とよく一致する結果となった.結論として,摩擦抵抗低減制御は,線形ストリークの生成だけでなく,非線形の流れ方向の渦の修正,および壁乱流の再生サイクルにおけるそれらの相互関係に依存していると考えられる.申請者による高解像度の直接数値計算では,境界層厚さの14%高さ付近までに45度に傾いた秩序的な波が観察されたが,この波は直接安定性解析で対象の境界層に対し算出される最小の渦と同じスケールであることがわかった.つまり今回見出された壁極近傍の斜めの波はエネルギー過渡増幅により説明され,遷移へ影響を与える可能性がある.
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