2020 Fiscal Year Research-status Report
Feedback control for turbulence based on coherent vortex structure
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19K14883
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
佐々木 英一 秋田大学, 理工学研究科, 助教 (60710811)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 乱流 / 秩序渦 / スパースモデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
発達した乱流状態には秩序渦が存在することが知られている.本研究の目的は乱流に内在する秩序構造の検出方法を定式化し,少ない観測から渦構造を見つけて制御することである. 圧縮センシングの分野で行われている特異値分解による再構成法を乱流データに適用した.系の自由度の3割程度の観測情報で元の流れ場を再構成することが可能であることを見出した.しかし,再構成法における目的関数に物理的意味を持たせることができず,秩序渦の検出には至らなかった.さらに,特異値分解の計算コストがボトルネックとなり,Taylor microスケールが100以上の流れに適用することは困難である. 本研究の根本的な問題であるため,問題の整理を再度行った.再構成問題はデータの特徴量抽出とL1ノルムによる解選択による最適化問題の二つのプロセスからなる.流れ場の特徴量抽出を主成分分析によって行い,L1ノルムを伴う最適化問題を解くことで,再構成の計算プロセスを分ける.これにより計算コストの問題を解消することが可能となる.しかし,主成分モードを表現ベクトルに使うことにより,小スケールの運動をとらえることができないだろうと予想される.これは前処理としてフィルターによるスケール分離を行うことで解消できると期待する.適当な表現ベクトルを用いることで,非線形偏微分方程式を低次元力学系モデルに縮約できることが報告されているが,発達乱流に適用した例はない.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
乱流の自由度が10^5以上のデータセットに適用可能な数値計算法の再考が必要である.これまで秩序渦の検出に注力してきた.しかし,従来法の多くは大規模行列を直接扱う必要があり,本研究の興味である発達乱流に適用することは困難である.流れ場の特徴量抽出に主成分分析を用いて,乱流の時系列データから低次元力学系を構築する.乱流の主成分分析は多くの実行例があり,計算コストの問題は解消できる. 予定していた海外研究者との共同研究が実行困難となった.本学で,類似の実験ができるかどうか,再考する必要がある.さらに,本学が所有する風洞は想定より試験範囲が狭く,スモークによる可視化から速度場を計測することが困難であることが分かった.
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Strategy for Future Research Activity |
平行平板間流れについて主成分分析によって乱流場の特徴づけを行い,各モードの時間発展データから,L1ノルムを伴う最適化問題を解くことで乱流アトラクタ低次元モデルをつくる.主成分モードの時間発展データから,モードの相互作用によって記述される低次元モデルを構成する.相互作用はスパースであることを仮定して,最適化問題を解くことで相互作用係数を求,運動量輸送を記述するモデルを作る.さらに,低次元モデルとデータ同化による状態推定を行う. 多重スケールの運動を検出する計算法を再考する.主成分分析は揺らぎの大きな成分を引き抜く手法であり,大きなスケールの運動を記述する.ここでは回転球殻Couette流れについて,異なるスケールの運動の検出方法を考える.この系は,平板間流れのように,蛇行したストリークと流れ方向渦(方位角方向)が発現する一方で,回転効果によってRossby波が現れる.前処理として,Gaussianフィルターによってスケール分離を行い,主成分分析をかけることで,流れ場の特徴量を抽出する.なお平行平板間流れ,回転球殻Couette流れの計算コードは既に開発済みである. 風洞実験について,x型熱線流速計を翼周りに2点設け,測定した流速から低次元モデルを作る.低次元モデルへのデータ同化を行い,その予測精度を評価する.
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Causes of Carryover |
実験について共同研究を行う予定であったAustraliaのラボに訪問する予定であったが,旅費・宿泊費が未使用となった.学会発表がオンラインとなったため旅費・宿泊費が未使用となった.理論の進捗が遅れたため,風洞実験の進捗が大きく遅れている.X線熱線風速計と計器を固定するためのセットアップに費用を使う. 次年度では学会・研究会がオンライン開催となることが予想される.講演・議論の機会を増やすために,積極的に発表する予定である.学会への参加費およびオンラインでのコミュニケーションを簡便にするための機器の購入費に充てる予定である.
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