2019 Fiscal Year Research-status Report
低レイノルズ数流れにおける乱流・層流の間欠性を利用した乱流熱伝達促進制御
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19K14884
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
守 裕也 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (80706383)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 熱流体制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の工業製品の効率化・小型化を踏まえると,特に小型熱交換器おける効率向上は急務である.そのために交換器内の冷媒流の熱伝達増加が必要だが,冷媒流は内在する乱れが弱く熱伝達率が小さい低レイノルズ数流れである.一方,低レイノルズ数流れでは流路に層流・乱流が間欠的に分布していることが知られている.本研究ではこの間欠性に着目し,低レイノルズ数流れの乱流領域を種として流路全体の乱れを増加させる制御を直接数値計算により実施・検証する.乱流制御の一つである進行波制御が持つ局所的な乱れの増加効果という独自知見を生かし、乱流および大きな熱伝達の維持の制御効果を狙う.これまでに流れの間欠性を利用した制御は実施されておらず,ここに本研究の学術的な独自性がある.摩擦抵抗や熱伝達の増加率等や流れ場の可視化から乱流維持・促進のメカニズムを明らかにする. 本研究では低レイノルズ数の平行平板間ポアズイユ流れの直接数値計算を実施する.直接数値計算とは乱流モデルを用いずに乱流を計算機内に再現する数値計算手法であり、高精度な結果により信頼性の高いデータを得ることができる. 本年度は平行平板間流れの計算コードの整備およびテストケースについての計算を行った.制御なしの場合の統計量については既存のDNSデータと比較し良好な一致を確認し、下流方向への進行波制御による流れのシミュレーションを実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者の研究実績のある壁面進行波制御による制御効果を検証した.乱流領域の傾きに合わせてスパン方向に傾斜した制御分布とし,制御による摩擦抵抗値,熱伝達,乱流エネルギーを評価した.制御による乱流増加を確認し、特に進行波の波長が乱流領域の間隔程度,位相速度は乱流領域の移流速度程度のときにより強い乱れが生じることがわかった。これら計算の妥当性調査やテストケースの検証は,本研究における最終的な目的である「制御効果の調査」に役立つものであり,現在までで研究の達成度は「おおむね順調」であると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度においては、令和元年度に得られた制御パラメータ(波長,位相速度,振幅,角度)を基準としたパラメトリックスタディを行い,制御効果を網羅的に調査する.更に,その制御パラメータが有効である理由を様々な角度から考察を行う.また,結果に対して理論的な知見を与える為,摩擦抵抗・熱伝達率に関する恒等式を用いた検討を行う.そのことで摩擦抵抗値及び熱伝達率に対する,乱流渦による寄与,進行波の直接的な寄与がそれぞれ明らかにすることが可能となり,メカニズムの考察に役立つと考えられる。
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Causes of Carryover |
計算機を当初予定額よりも安く購入でき、また学会旅費についても安価で済んだため。これらを利用して、令和2年度にはより高性能な計算機の購入を計画している。
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