2019 Fiscal Year Research-status Report
Study on physical mechanism of Leadin edge receptivity of swept wing
Project/Area Number |
19K14892
|
Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
西尾 悠 成蹊大学, 理工学部, 助教 (70712743)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 前縁受容性 / 後退翼 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主流に含まれる乱れや局所的な主流乱れに対する境界層の応答について数値シミュレーションおよび風洞実験により調べた。風洞実験では,主たる受容点である前縁の一部分に限って高い主流乱れを導入し,その乱れの取り組まれる程度や下流での境界層の応答を調査した。その結果,遷移点予測に関係するであろう下流における乱流斑点の発現頻度を詳細に調査することができた。局所的に乱れを導入する装置を開発し,その設計に使用可能な理論も構築したことも,この風洞実験遂行のために大きな貢献をしている。境界層の不安定機構を誘発させやすい渦度かく乱を調査するために,渦度の軸がある一定方向にそろっている外乱に対する前縁部の受容性を数値シミュレーションを用いて調査した。結果として,壁面から供給される渦度と外乱との相互効果が確認され,その程度によって境界層に取り込まれる乱れの強さが変化することがわかった。加えて,従来の研究者が受容点として着目するよどみ点ではなく,それよりも下流に受容しやすい領域が存在することが確認された。これら受容性の本質に関する調査に加えて,主流乱れについても調査した。一般的な主流乱れである一様等方性乱流を数値計算上で再現し,渦度による速度変動の程度を左右する渦の伸長の発生頻度やそれを生む機構について調査した。また日本流体力学会年会や日本機械学会年次大会に加え,流体関連の国際会議などの先端研究者が集まる会議に積極的に参加し,情報収集やディスカッションを行うことで今後の研究にとって有益な情報を収集した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目標である局所乱れに対する受容性については,風洞実験,数値シミュレーションともに順調である。ただし,数値シミュレーションによるアプローチについては物理現象を集中的に観察するために,調査対象とするパラメータは当初の設定よりも限定して実施した。しかしながら,観察手法の本質は既に初年度において確立されており,この点は問題と考えていない。また,受容しやすい渦構造についての調査は,調査対象とするパラメータは当初の目標よりも少ない。しかし,本研究を発展させる結果である壁面との相互作用や程度が明らかにできたため,次年度以降の研究にとって十分な成果を得ている。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は壁面からの渦度供給と外乱との関係を調査対象とし,数値シミュレーションを遂行していく。その流れ場に対して境界層内に取り込まれる乱れの詳細な観察を行い,不安定性を誘起する重要な渦構造を見つけ出す。渦構造に対して境界層が応答する様子を詳細に観察することによって受容性を決定づける重要な渦構造を明らかにする。さらに,最も重要な数種類の条件を選び出し,受容過程から遷移までを再現すべく高性能コンピューターを用いた大規模計算を行い,受容性と遷移点の位置との関係を明らかにしていく。また,得られた知見を広く公表するために国内外における学会発表や雑誌論文への掲載を目指す。
|
Causes of Carryover |
研究の進捗に沿って適正に使用した結果,少額(318円)を次年度へ繰り越すことになった。
|