2019 Fiscal Year Research-status Report
マルチスケール構造を有する固体高分子形燃料電池の大規模水輸送解析手法の開発
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19K14900
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
境田 悟志 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 助教 (40816170)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 固体高分子形燃料電池 / 格子ボルツマン法 / 水輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
固体高分子形燃料電池は次世代の自動車等の移動動力用電源として期待されているが、普及にあたっては電池全体としての水管理の最適化を行い、出力密度を向上しコストの低減を実現する必要がある。このためには、ミリスケールのセパレータ、マイクロスケールの空隙を有するガス拡散層を含む大規模水輸送解析を実現し、各要素の最適構造を明らかにしなければならない。本研究では燃料電池内水挙動に及ぼす電池構造・運転条件の影響を明らかにするために、格子ボルツマン法を用いた大規模水輸送解析手法を構築する。 2019年度では大規模水輸送解析を実現するため、細管力が大きく密度の影響が無視できるガス拡散層内の水輸送を高速計算可能な等密度格子ボルツマン法(二相の密度に同じ値を用いるモデル)で解き、空気流動による慣性力と粘性力が大きく密度の影響を受けるセパレータ内の水輸送を高密度比格子ボルツマン法で計算する解析コードを構築した;計算の遅い高密度比格子ボルツマン法の使用領域を構造が単純なセパレータに限定し計算負荷を最小化した。また、高密度比格子ボルツマン法の高速化も行い、固体高分子形燃料電池の水輸送解析を大規模な計算領域で実現可能となっている。構築した解析コードを用いて、電池内の水輸送解析を進めており、撥水性のガス拡散層の表面近傍を親水化することで、ガス拡散層内部の水輸が効率的にセパレータへ輸送され、セル内に滞留する水の量が低減する可能性が示されており、今後、検証を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、計画通り解析モデルの構築が完了している。2020年度は予定通り、解析モデルを用いて水輸送最適化する電池構造を検討できる状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は構築した解析モデルを用いて水輸送を最適化する電池構造を検討する。また、得られた結果をもとに電池部材を作製し、セル性能の向上を検証する。
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Causes of Carryover |
本年度から燃料電池の性能評価を随時実施していく予定であったが、コロナウイルス対策のため実験を開始することができず、性能評価に必要な物品を購入しなかったため差額が生じている。次年度では予定していた実験に必要な物品を購入し、計画していた実験を遂行していく。
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Research Products
(1 results)