2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of new computational approach to predict Ludwig–Soret effect in mixture of charged particles using molecular dynamics simulation
Project/Area Number |
19K14901
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金子 敏宏 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特任研究員 (00711540)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 分子動力学 / 熱泳動 / ソレー効果 / 混合系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,イオン液体や水溶液のように局所的な電荷を持つ分子混合系において,熱泳動現象の度合いを特徴付ける物理量である Soret 係数が決定する機構を明らかにすることを目指し,理論式の導出と計算手法の自作コードへの実装の両面から研究を進めた.まず,既存の手法の問題点である Soret 係数を計算するときに非現実的に大きい温度勾配が必要となる点を解決するため,温度勾配を必要としない Green-Kubo 公式を用いた計算手法について,理論式を再導出し計算式を整理した.その結果,二体間相互作用であれば問題なく実装可能であるものの,多体間相互作用を含む計算では,多重ループが生じるため計算量が急増し,現実的な計算時間では解が得られないとの知見を得た.そのため,局所的な電荷を含む系での Soret 係数の予測について,二体間相互作用で記述できる部分に絞って研究を実施した.つぎに,ベンチマーク用の自作コードの作成を進めた.その結果,質量・直径・分子間相互作がそれぞれ異なる2種類の分子を混合したときの分子動力学シミュレーションが実行可能となり, Soret 係数の計算方法を検証するための土台ができた.また,将来的に汎用ソフトでの計算結果を解析できる状態を目指して,力場パラメータや原子座標時系列を読み込むためのツール群を作成した.以上を通して,分子動力学シミュレーションにおいて非現実的に大きい温度勾配を使用せずに Soret 係数を予測するための基礎部分が完成した.
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