2020 Fiscal Year Research-status Report
高熱流束除熱達成に向けた気泡合体が沸騰伝熱に及ぼす影響
Project/Area Number |
19K14904
|
Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
諸隈 崇幸 神奈川大学, 工学部, 助教 (00756059)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 沸騰熱伝達 / ミクロ液膜 / 気泡間液膜 / レーザー干渉法 / レーザー消光法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究申請はこれまで構築してきた薄液膜の測定手法を用いることで,純水中における沸騰冷却の限界である1 MW/m2のさらなる向上を目指し,高熱流束除熱における沸騰伝熱機構を解明することを目的に,大きく分けて次の2つに分類される課題を行っている.課題1:沸騰気泡直下に形成される熱伝達の極めて良好な薄液膜(以下ミクロ液膜)の形成から消失までの詳細を把握し沸騰冷却のメカニズムを明確にする.課題2:接近する気泡間に形成される液膜の形成から合体に至るまでの詳細な液膜厚さ分布を測定し,気泡同士が合体する条件を明らかにする.上記2つのテーマから単一の気泡成長だけでなく気泡間の相互干渉の影響を明確にする.課題1の把握のために,令和2年度は純水およびエタノール水溶液中の沸騰気泡発生時のミクロ液膜厚さの測定を行った.実験は熱流束を変化させて孤立気泡領域から合体泡領域までの広域な実験範囲について行った.令和1年度では純水のみであったが、令和2年度ではエタノール水溶液などの2成分液体のようにマランゴニ力の働く場合についても観察ができた.その結果,沸騰気泡底部に生成されるミクロ液膜消失過程の観察に成功した.孤立気泡領域では成長する気泡の体積変化と合わせ,ミクロ液膜の減少量をすべて蒸発したと仮定することでミクロ液膜からのおおよその伝熱量を推定することが出来た.このことは沸騰伝熱機構を明らかにする上で重要な要素となる.純水では気泡の成長とともに同心円状にミクロ液膜が広がっていく様子が確認出来るが,エタノール水溶液では気泡形成初期は同心円状にミクロ液膜が形成されるが,時間経過と共に周方向に変動していく様子が観察された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度の進捗は1課題は進めることが出来ているが、もう1つの課題の進捗が遅れている.課題1:沸騰気泡直下に形成されるミクロ液膜の形成から消失までの詳細を把握し沸騰冷却のメカニズムを明確にする.課題2:接近する気泡間に形成される液膜の形成から合体に至るまでの詳細な液膜厚さ分布を測定し,気泡同士が合体する条件を明らかにする.これら課題の内課題1では純水およびエタノール水溶液中で沸騰気泡成長時のミクロ液膜厚さの測定について,熱流束を変化させて孤立気泡領域から合体泡領域までの広域な実験範囲について行った.課題2ではコロナ禍による研究時間確保の困難と研究環境変化による研究遂行人員不足のため、実験装置移設後に装置の稼働ができていない.令和3年度は急ぎ装置の稼働を行い,研究を遂行する.
|
Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は課題1では沸騰伝熱機構の解明のためにバルク液を変化させ各々の液体におけるCHF付近のミクロ液膜の消失過程の観察を行う.課題2では沸騰気泡を模擬するため,液中に射出する気体を空気ではなく,液体と同種蒸気を用いて実験を行う.特に課題2では令和2年度に進めることが出来なかった装置の立ち上げを、人員を増員して行う。
|
Causes of Carryover |
使用していた機器の修理など突発的な使用用途があったため、令和3年度に機器の新調費用として繰越金を支出予定である。
|
Research Products
(1 results)