2019 Fiscal Year Research-status Report
集積回路の温度安定性向上のための高熱伝導フレキシブル蓄熱フィルム開発
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19K14905
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
馬場 将亮 長岡技術科学大学, 工学研究科, 助教 (10826176)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 蓄熱材料 / 固―固相転移材料 / 熱界面材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,固―固相転移蓄熱材料,高熱伝導率フィラー,配向技術を組み合わせた「高熱伝導フレキシブル蓄熱フィルム」の開発および他の材料と比較した優位性の明確化である.この目標を達成するために申請者は①固―固相転移蓄熱材料の利用,②熱伝導性フィラーの分散,③配向制御という3つのアイディアを統合したフィルムを製作する.初年度の研究では,研究項目A. 蓄熱材料およびフィルムの合成および熱物性の測定,研究項目B. デバイス化に向けた解析を行った. 研究項目Aでは,二酸化バナジウムと樹脂を組み合わせたフィルムの合成に成功した.また,熱伝導率を測定するために温度傾斜法を用いた熱伝導率測定装置を自作した.この結果は,本研究の目的達成に直接貢献する成果である. 研究項目Bでは,潜熱を考慮した熱解析モデルを構築した.熱解析モデルの精度は,解析結果と実験結果を比較することで検証された.熱解析モデルはよく実験結果を再現しており,精度が高い.この熱解析モデルを用いて,熱伝導率および潜熱が高熱伝導フレキシブル蓄熱フィルムの性能に与える影響を定量的に評価した.この結果から瞬間的な発熱を平準化するために高熱伝導フレキシブル蓄熱フィルムが持つべき性能(熱伝導率,潜熱量)が明らかとなった. 以上の成果をもとに2年目は高熱伝導フレキシブル蓄熱フィルムの最適化を図る.具体的には,研究項目Bの成果を基に望みの性能を達成するフィルムを研究項目Aで作製する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度はおおむね順調に進んでいる.研究項目A,Bの成果から当初の目標を達成可能であることが理論的に明らかとなっており,2年目に材料設計の最適化を行うことで確実に目標を達成できる. 当初の予定から変更された点として下記が挙げられる.当初の予定ではフィルム中に配向したフィラーを分散させる予定であった.しかし,研究項目Bの成果から,フィラーを分散させるまでも無く,目標の性能を達成可能であることが明らかとなった.そこで,フィラーの分散よりも前述の研究項目A,Bを優先して進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は高熱伝導フレキシブル蓄熱フィルムの最適化を図る.具体的には,研究項目Bの成果を基に望みの性能を達成するフィルムを研究項目Aで作製する.また,初年度に得た成果をまとめ論文や学会で発表する.
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