2019 Fiscal Year Research-status Report
CFRPの面内非一様燃え拡がり挙動モデリング:汎用三次元燃え拡がりモデルへの展開
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19K14906
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
小林 芳成 岐阜大学, 工学部, 助教 (00827016)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 炭素繊維強化プラスチック / 燃え拡がり / 炭素繊維配合方向 / 熱的異方性 / モデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
従来の燃え拡がりモデルは,面内の熱輸送は等方と仮定した二次元モデルであるため,熱的異方性を有する材料はカバーしていない.そこで,本研究は,炭素繊維配合方向に熱的異方性を有することが分かっている炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を取り上げ,その燃え拡がり挙動を調査・解明,そしてモデル化することにより,材料に依らない汎用な燃え拡がりモデルの構築を目指す. 今年度は,燃え拡がり試験装置の設計・制作および炭素繊維配合方向が異なるCFRPシートを作成し,それらを用いて燃え拡がり試験を行った.その結果,炭素繊維配合方向によって,限界酸素濃度(LOC)や燃え拡がり速度(FSR)など,燃え拡がり特性が大きく変化することが明らかとなった.特に,炭素繊維が一方向に配合された最も熱的異方性が高い場合に,LOCおよびFSRがそれぞれ最低・最高となり,結果として燃焼性が一番高くなった.また,赤外線カメラで燃え拡がり時の表面温度分布を可視化したところ,炭素繊維配合方向によって火炎前方の予熱領域のサイズが異なることが分かった.燃え拡がりは,予熱領域への熱輸送によって駆動されるため,熱的異方性によって固相の熱輸送が変化して,上記のような違いが現れたと推察される. 熱的異方性によって燃え拡がり特性が変化することを明らかにしたのは本研究が初めてであり,これまでに得られた知見は熱的異方性のモデル化および汎用燃え拡がりモデルの構築に資するものである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,燃え拡がり試験装置の設計・製作および炭素繊維配合方向の異なる炭素繊維強化プラスチック(CFRP)シートを作成し,それらを用いて燃え拡がり試験を行った.その結果,炭素繊維配合方向の違いによって,限界酸素濃度や燃え拡がり速度など,燃え拡がり特性が大きく変化することが明らかとなり,CFRPの燃え拡がり挙動をモデリングするのに有用な知見を得られたため.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,燃え拡がり試験で得られた知見をもとに,炭素繊維強化プラスチックの燃え拡がりモデルを構築する.そして,そのモデルを用いて,限界酸素濃度や燃え拡がり速度などの特性値を算出する.それらを実験結果と比較することでモデルのバリデーションを行い,従来の燃え拡がりモデルではカバーできない材料にも適用可能な汎用モデルの確立を目指す.
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Causes of Carryover |
物品の購入額が見積額よりも安価であり,また当初購入予定であった機器をすでに保有していた機器で代用できたため.
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Research Products
(2 results)